英語の迷い道(その173)-人間の心理の不思議さ-「モノを買う」ことの心理 | 流離の翻訳者 果てしなき旅路

流離の翻訳者 果てしなき旅路

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴16年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

6月に入って晴天が続いていたが昨日の午後から雨になった。夜中に目が覚めてパソコンに向かっていると外の雨音が次第に強くなってきた。

 

九州南部が昨日梅雨入りしたようで、こちらの入梅も数日中だろう。

 

 

就職活動の中で履歴書や職務経歴書を作成しているが、つくづく「波乱万丈の人生だったなぁ~」と自らの人生を振り返る。

 

今では若い人の転職がほぼ当たり前になっているが、我々の時代は随分保守的だった。まだまだ「寄らば大樹の陰」とか「終身雇用」といった幻想が美徳とされた時代だった。

 

自ら選んだ道なので後悔は無いが、もっと穏やかで楽な生き方ができただろうに、などと今さらながら他人事のように思う。だが、人は一旦決断すると、周囲が見えなくなるものなのかも知れない。

 

 

以下の大阪大学/外国語学部の英作文は、そんな人間の心理について記述したものである。

 

 

(問題)

次の日本文の下線部(1)~(3)の意味を英語で表しなさい。

 

(1)人間の心理というのは不思議なもので、最初はそれほどいいと思わなかった物でも、いったん自分で買おうと決断すると、そのいいところばかりを見るようになる。(2)買う前は欠点に敏感だったあなたも、いったん所有することになると、長所ばかりを強調することになる。そういうわけだから、テレビなどでもっともよくベンツのコマーシャルを見る人間は、今現在ベンツを所有している客自身だということになる。(3)われわれはいったん自分自身で決定を下すと、それがいかにおかしな事態を招くことになるとしても、それに向けて一直線に進んでいく習性を持っているのである。

(植島啓司『偶然のチカラ』)

(大阪大学/外国語学部・2012年)

 

 

(拙・和文英訳)

(1) Human psychology is so strange that, even if you don’t think a thing is so good at first, however, once you decide to buy it by yourself, you will come to see only the good points in it. (2) That is, even if you are sensitive to defects of a thing before you buy it, however, once you come to own it, you will emphasize only the advantages of it. Therefore, the people who most often see Mercedes-Benz commercials on TV are the customers themselves who currently own Mercedes-Benz vehicles. (3) Once we have made a decision on something by ourselves, we have a habit of moving in a straight line toward it, no matter how ridiculous a situation it may bring about.