英語の迷い道(その169)-「店頭のパンのありがたさ」-私とパン食 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

前回の記事で初めて「食」に関する文章の英訳を試みた。現在、家内が中国に帰省中で毎日自炊をしているため、そんな文章に目が留まったのかも知れない。

 

 

日本でパン食が全国的に広まったのは1960年代らしい。パン食を前提とした日本の学校給食が、1954年の「学校給食法」成立後も継承されたことにも関係するようである。

 

確かに物心がついた1960年代、私が小学校の頃から、我が家でも朝はパン食だった。トーストにバターかマーガリン、それにハムエッグと生野菜。飲み物は温めた牛乳にコーヒーかココアを溶かしたものだった。コーヒーはインスタントのネスカフェだった。

 

小学校の高学年になると、飲み物はコーヒーへと変わっていった。コーヒーを飲むことで「少し大人になった」心地がしていた。中学、高校へと進むにつれてコーヒーは生活の一部になっていった。

 

朝のパン食の方は私が高校・予備校くらいまで続いたが、何せ、当時は夜食は食べるは、朝はギリギリまで寝ているはで朝食抜きが当たり前になった。毎日眠い顔をして学校に行っていた。

 

大学時代、独り暮らしを始めてからも朝食はコーヒーだけ、というパターンが多くなった。パン食が復活したのは、東京の会社に就職して独身寮に入ってからである。寮では毎朝、和食と洋食が交互に出された。でも朝食を真面目(?)に食べていたのは新入社員の頃くらいである。

 

今は、完全な和食派だが、時折り無性にパンが食べたくなることがある。そんな時はコンビニやパン屋に買いに行くが、パンを食べるのは圧倒的に昼食としてが多い。

 

 

以下の京大の問題は「店頭で売っているパンのありがたみ」をテーマとしている。「生地がしっかり膨らむ」「売り」の訳出は難しかったと思う。受験生はどう逃げ切ったのか。

 

 

(問題)

Ⅲ.次の文章を英訳しなさい。

 

パンは手軽に食べることのできる食品であるが、実際に作ってみるとなると、出来上がるまでに大変な手間がかかる。特に、生地がしっかり膨らむまで待たなくてはならない。簡単にパンを焼けることが売りの家電製品を使ってみても、全工程に4、5時間は必要である。自分で経験してみて初めて、店頭で売っているパンのありがたみが分かるようになるものだ。

(京都大学・2016年)

 

 

(拙・和文英訳)

Bread is a food that can be easily eaten, but when it comes to baking bread actually, it takes a lot of time to bake it. In particular, we have to wait until the bread dough is well leavened. Even if we use a home appliance featuring easy bread baking, the whole process requires as long as 4 or 5 hours. It is not until we experience bread baking by ourselves that we really come to understand the value of bread sold at stores.