英語の迷い道(その115)-「座禅会」と「精進料理」-精神統一の難しさ | 流離の翻訳者 果てしなき旅路

流離の翻訳者 果てしなき旅路

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴16年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

今までに一度だけ「座禅」を組んだことがある。予備校時代のちょうど今の時期だ。我が予備校では受験直前の受験生の精神の統一を図る(?)べく「座禅会」が催された

 

当日の朝、予備校から貸切バスで足立山麓の禅寺に向かった。参加した受験生は50名ほど。興味本位で何となく参加してみた。

 

寺に着くと早速壁に向かって座禅を組まされた。スカートの女子には正座が許可された。しかし大勢で座禅を組んでいると心が落ち着く……?なんてことはない。それどころか何かしら滑稽であちこちから「ククッ……」と笑いをこらえる声が聞こえてきた。

 

木魚の音が「ポクポクポクポク…………」と鳴り響き、最後に鐘が「カァーン」と鳴った瞬間、こらえ切れずに笑いが爆発した。

 

「そんなことじゃ試験には合格できませんぞっ!姿勢を正して精神を統一なさい!きっと仏様の姿が見えてまいります!」などとほざく禅僧の言葉で余計に可笑しくなって、再び全員が大笑いとなった。

 

今度は、禅僧サイドも黙ってはいなかった。警策(きょうさく)を持った若い禅僧たちが通路を走り回り、我々のように精神統一ができていない受験生を容赦なく叩きまくった。笑うのを我慢するのに精一杯で精神統一などできるはずがない。結局私は2回叩かれた

 

果たしてどんな御利益があったのかわからないが、ともかくもこれが予備校で最後のイベントとなった。それから46年余りが経つが、以来「座禅」を組んだことは一度もない。

 

 

 

「座禅」はともあれ本格的な「精進料理」など食べたことがない。以下は「英文表現法」から「精進料理」に関する英訳の問題である。

 

 

(問題)

禅寺で本格的な精進料理を食べた。商売で食べさせるわけではないから本物だ。朱塗りの膳に同じ塗りの食器、料理屋風の料理を見なれた者にとってはいささか素朴にすぎる、しかし食べてみて驚いた。意外なことに大変美味い。材料が良い、味噌や醬油も自家製のようである。いまどき食料を自給自足できるのは大きいお寺と豪農くらい、これほどの贅沢な食生活はまたとあろうか。

 

 

(拙・和文英訳)

I ate authentic vegetarian dish at a Zen temple. It was real because they didn’t offer it for business. The vermilion-painted dining table and tableware were a little too simple for those who were used to restaurant-style dishes, but I was surprised when I tried it. It was much more tasty than I had expected. The ingredients were good, and the miso and soy sauce seemed to be homemade. Nowadays, only large temples and rich farmers could be self-sufficient in food, and I think I’ll never experience such a luxurious diet again.