昔読んだ本を読み返すことが時々ある。内容を全く覚えていないものも多いが、専門書などは初めて読んだ時とは全く印象が異なるものもある。
また、その本を読んだ当時の自分の境遇を思い出して「あの頃は〇〇××だったなぁ……」と懐かしく感じることもが多い。これは映画や音楽でも同じである。
一度読み終えた本は、たとえ参照価値が無くなっても、おいそれと捨てられないのはこの辺りに理由があるようだ。
以下の京大の問題は、ある読書法ついて記述したものである。作者がどれくらい成熟しているかを測るなど一般人にはなかなかできるものではない。
(問題)
このごろ昔の長い小説を読んでいる。一つには、当今のものを退屈しながら読むくらいなら、前に読んで重い手応えのあったものを再読したいという気持ちになったためであり、もう一つには、長大な作品を書いていくなかで作者が成熟して行くのをみるのが面白くなったためである。
(京都大学 1992年前期)
(拙・和文英訳)
Recently, I've been reading long novels in the past. One of the reasons is that I would rather read the books again that I had read before and had a strong impression than read some current ones with boredom. And the other reason is that I have come to feel it interesting to find how the author matures while he has been writing long novels.