長い間積ん読状態にあった伊藤元重著「マクロ経済学」(日本評論社)を昨日から読み始めた。
思ったより読みやすい。ミクロ経済学はともあれ、マクロ経済学については、我々が学生時代の数式ばかりの経済書は今は流行っていないようである。
同書の中に「金利が低下したら、経済全体にどのような影響が及ぶか」について書かれた件(くだり)がある。
その中で「風が吹けば桶屋がもうかる」の譬えがでてくる。この推論をしっかりと調べたことはなかった。
この推論の概要は以下のとおりである。
①風が吹けば砂が舞い上がり、砂が目に入り目が悪くなる人が増える。⇒②そのため三味線弾きで生計を立てる人が増え、三味線が売れる。⇒③三味線には猫の皮が必要だから猫が捕られる。⇒④猫が捕られるのでネズミが増え、桶がかじられる。⇒⑤桶を買う人が増え、桶屋がもうかる。ことになる。
これも一種の「経済波及効果」かも知れない。
「金利が低下したら、経済全体にどのような影響が及ぶか」については、
①日本の金利が低下する。⇒
②金利が低いので企業の設備投資が増える。⇒③設備投資のための需要が増える。⇒④設備投資により生産が拡大する。⇒⑤従業員の雇用が増え、賃金(所得)が増加する。⇒⑥物価が上昇する。
②‘貯蓄してもつまらないので家計の消費が増える。⇒⑦消費のための需要が増える。⇒⑧企業は生産を拡大する⇒上記⑤⇒⑥
②‘’海外でもっと金利が高いところへ資金が流出する。⇒⑨円安になる。⇒⑩輸出が増加し、輸入が減少する。⇒⑪輸出のための需要が増える。⇒上記⑧⇒⑤⇒⑥
結局のところ、①日本の金利が低下する。⇒③⑦⑪国内の需要が増える。⇒⑥物価が上昇する。というシンプルなロジックのようである。