一昨日沖縄・奄美地方が梅雨入りした。今日のような初夏の汗ばむ陽気もあと2週間ほどだろう。
思い起こせば……。
学生時代、やたらと故事成句や諺を使いたがる友人(雀友)がいた。彼が初巡にオタ風を碰(ポン)したので、私が「オタ風鳴くかぁ~!」と言うと「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」と返してきた。
「燕雀(えんじゃく)安(いずく)んぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや」とは「お前のような若輩者に私のような大人物の崇高な志を理解することができようか、いやできはしない」という意味である。
恐らく初旬に「北」を鳴き、運のみを頼りに対々和(トイトイ)か混一色(ホンイツ)あたりを狙うつもりだろう。結局は手が狭まり、三面待ちのリーチあたりに振り込むくらいが関の山である。
まあ、このような彼の打ち方には崇高な志などは何処にもない、と言っていいだろう。
因みに「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」の英訳を調べてみると、
Ask not the sparrow how the eagle soars.
(鷲が如何にして舞い上がるかを雀に尋ねるな)
という訳が出てきた。名訳である。
外山滋比古著「90歳の人間力」に、諺に関する面白い話が出てきた。
「船頭多くして船山にのぼる」という諺だが「指図する人が多すぎると混乱して物事がうまく進まず、とんでもない結果になりかねない」という意味である。
この諺の意味の解らない学生が多いらしい。結構優秀な学生が、この諺を「船頭が何人もいて力を合わせて船を山までかつぎ上げた」(笑)という意味に解釈したらしい。
船を山までかつぎあげた船頭たちは、果たしてそれからどうするのだろうか?
因みに「船頭多くして船山にのぼる」の英訳を調べてみると、
Too many cooks spoil the broth.
(コックが多すぎるとスープがダメになる)
という訳文が見つかった。
因みにこの諺を機械翻訳してみると、
Many boatmen climb Mt. Funayama.
(多くの船頭が船山に登った)(笑)
という珍訳が出てきた。これなら先の学生の解釈の方がましだ。機械翻訳はまだまだのようである。