新・英語の散歩道(その96)-「コンビニエンス(Convenience)」の正式な意味 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

外山滋比古著「90歳の人間力」に面白い話が出ていた。「コンビニ」に関するものである。英文学・言語学が専門なだけあって、蘊蓄(うんちく)に富んだ話である。

 

 

ある初老の婦人が店へ駆け込むようにコンビニに入ってきて、店員をつかまえて、「トイレはどこ」ときいた。

 

店員はひとこと「トイレはお貸しできません」と撃退した。彼女はスゴスゴ出ていった。店の不親切に腹が立った。

 

……(中略)……

 

年をとると、トイレが近くなる。我慢ができない。それで、したい外出も控えるという人が少なくない。

 

コンビニができて、トイレを貸してくれるときいて、そういう高齢者がどんなに喜んだか知れない。

 

そのコンビニで断られたら、途方にくれる人がいるにちがいない。コンビニはやさしさに欠ける、サービスの精神がない。

 

コンビニはアメリカから渡来した商法だが、英語の本場・イギリスでは、コンビニエンスには、トイレ、公衆便所の意味があることを知らないだろう。

 

コンビニはトイレを貸さなければ、すこしもコンビニではないのである。

(外山滋比古著「90歳の人間力」p.88-89から引用)

 

 

 

Convenience を英和辞典で引いてみると、確かに「3⦅英正式⦆公衆便所」という記載があった。

 

 

コンビニにはいつもお世話になっている。コロナの緊急対応時を除いて、トイレを貸してもらえなかったことはない。

 

ただ、一つしかないトイレを長時間占有する輩がいるのは、いつも困ったものだと思っている。