「母の日」が、公式に5月の第2日曜日に定められたのは1947年(昭和22年)のことらしい。結構な歴史があるようだ。
社会人になってから、帰省すると父に小言のように言われたのが「母の日くらいお母さんに何かプレゼントを贈れ!」ということだった。だが、結局贈ることができたのは母が「バーバ」になってからだった。
ある年の正月の松の内が明けた頃、母と祖母が一緒に外出したいという。私が高校生くらいのころだ。
年末・年始のお節料理作りなどで忙しかったから、ゆっくり買い物でもしたいらしい。また初詣にも行けていないので参詣もしてくるという。
その日、夕刻になっても母も祖母もいっこうに帰ってこなかった。「夕飯はどうするのか」と少し不安になり始めた。
もうそろそろ夕飯という時刻になって、自宅前にタクシーが止まって母と祖母が降りてきた。「遅かったね!三社参りでもしたんね?」と尋ねると「いや!映画を観てきた!」という。
「何を観たんね?」と訊くと「フーテンの寅さん!」と答えた。思わず笑ってしまった。母と祖母にとっては自分たちへのご褒美だったのかも知れない。
その日の夕飯が出来合いの総菜になったのはもちろんのことである。
英作文の面白い問題を見つけた。母親に関するものだ。
(問題)
母の趣味は買い物である。先の見通しもなくどんどん買うものだからすぐに無駄なもので家がいっぱいになってしまう。なお悪いのは安物ばかり買い込むことで、父などは安物買いの銭失いだと悪口を言う。母の方はすました顔で、あなたもそうして手に入れた一つかもしれませんよ、とうそぶいている。
(京都大学 1990年・後期)
(拙・和文英訳)
My mother’s hobby is shopping. She buys one thing after another without any prospects, so our home is quickly filled with useless things. What is worse, she buys only cheap goods. Therefore, my father and others complain that she buys cheap and wastes her money. Nevertheless, my mother brags with a straight face that he may have been one of those things I have got in such a manner.