新・英語の散歩道(その77)-「英文解釈難問集」⑨-忘れることの重要性 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

長時間翻訳を続けていると、しばしば頭脳が飽和したような状態になり、英文が浮かばなくなる。そんなときは眠るのが一番だ。目が覚めたら頭がすっきりしている。

 

コンピュータ再起動のようなものである。メモリーの中のゴミが整理され記憶領域が拡張される。汎用コンピュータの世界では、これをコンデンス(condense)とかコンプレス(compress)と呼んだ。

 

 

 

以下は「英文解釈難問集」から、忘れることの大切さに関する英文である。次の行動を起こすためには、忘れることも確かに必要である。

 

 

(問題)

It is indeed fortunate that we can forget; it is as necessary to forget as it is to remember. I am not speaking now of forgetting unhappy memories, but rather of forgetting what is unrelated to the purpose of the moment. We could not concentrate on anything al all if we were not able to forget everything else for the time being. The innumerable little insignificant events of daily life and the many facts that come to our attention (as when we look through a newspaper) have to be forgotten, so that our minds can be cleared for action.

(岩手大学・1978年以前)

 

 

(拙・英文和訳)

我々がものを忘れることができることは実に幸せなことである。記憶するのと同じくらい忘れることは必要だ。私は今、不幸な記憶を忘れることについて話しているのではなく、むしろ、その一瞬の目的とは関係ないことを忘れることについて話しているのである。もし、しばらくの間他のことを忘れることができなければ、何事にも集中することはできないだろう。日常生活の無数の小さな取るに足らない出来事や(新聞に目を通すときのように)私たちの注意を引く多くの事実は、私たちの頭脳が整理されて次の行動に取り掛かれるように、忘れ去られなければならない。