東京の摩天楼の夜景は美しい。今回の上京ではあまり堪能できなかったのが残念だ。まあまた機会もあるだろう。
西新宿の高層ビル群を最初に訪れたのは大学2年の秋のことだった。一橋に進学した友人から学園祭に招待されたときだった。
新幹線から見えた夕映えの高層ビル群は赤黒い巨大な林のように見えた。
「お前の背中ごしの街が今 夕陽の中で燃え始めた……♪」
以下は「英文解釈難問集」から京都大学の過去問である。大都会の夜景を宝石箱にたとえている。
(問題)
The night view now had a certain magnificence. Against the dark blue velvet, like an immense jewel case, were roads that were rippling rivers of light, and all the colored fires of commerce, restaurant, and bar signs like scattered rubies and emeralds. If men of other ages could have looked through my eyes for a moment, I thought, how they would have cried out in amazement, wonder and joy, to see a city, after the sun had gone down, blazing like a garden at noon.
(京都大学・1978年以前)
(拙・英文和訳)
その時の夜景には確かな素晴らしさがあった。波打つ光の川のような道路と、散りばめられたルビーやエメラルドのような商店やレストラン、またバーの看板の様々な色の光が、濃紺のビロードを敷いた巨大な宝石箱のように見えた。もし私とは異なる年齢の人たちが私の目を通してこの夜景を一瞬でも見ることができたならば、太陽が沈んだ後に、真昼の庭のように燃え上がる大都市を見て、きっと驚嘆と不思議さ、また喜びにどれくらい叫んだことだろうか、と思った。