新・英語の散歩道(その61)-「風媒館」と古本屋巡り-渡辺真知子「迷い道」 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

下宿はトイレと洗面所が共同、洗濯機も共同だった。風呂はなく銭湯通いとなった。

 

毎朝起きると外の共同洗面所で歯を磨いて顔を洗った、洗濯物は共同の二層式洗濯機で洗い別棟の屋上の物干しに干した。物干しに屋根はなく天候に注意が必要だった。京都は雷が多く何度か怖い思いをした。

 

 

徒歩5分くらいのところに「平安湯」という銭湯があった。当時の入浴料は150円くらいだった。長い髪の女性には洗髪料金というものが課された。

 

京都の銭湯の湯温はやたら熱く何度かのぼせてしまった。銭湯の入り方も知らなかった。また買ったばかりの下駄を銭湯で盗られた。鍵がかかる下駄箱に入れればいいものを……。人間不信に陥った。

 

銭湯から少し南に下ったところに「風媒館」という食堂・喫茶があった。「チキンカツ定食」をよく食べた。コーヒーとセットで500円くらいだった。

 

 

 

 

本学を南から北に抜けると今出川通りにでた。銀閣寺方向に東に進むと喫茶店や食堂、古本屋など学生街が続いていた。

 

よく行った喫茶「アラビカ」。オムライスやベーコンエッグとコーヒーのセットが500円だった。愛想のいいママさんとダンディなマスターが居た。

 

その他、食堂「ハイライト」「餃子の王将」(農学部前店)、ラーメンの「天下一品」(銀閣寺店)、中華の「白水」あたりでよく食べた。

 

 

古本屋は今出川通り沿いに10軒くらいあった。古本屋巡りも楽しみの一つになった。文学史の本にあったような名作を買っては少しずづ読み始めた。

 

また「ドクトルまんぼう青春記」に出てきたカントの「純粋理性批判」デカルトの「方法序説」阿部次郎の「三太郎の日記」倉田百三の「愛と認識との出発」などタイトルだけ知っている哲学書も買い集めたが、読破できたものは皆無に等しい。

 

 

 

 

5月に入り、ホームシックとスチューデント・アパシー(Student Apathy)から自分の方向性を見失うなか、渡辺真知子の「迷い道」という曲が流行っていた。