新・英語の散歩道(その57)-「京歩会」の思い出-渚ゆう子「京都慕情」 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

上洛したばかりの頃は、この4年間は京都の名所をしっかり観てやろうと思っていた。当時入ったサークルが「京都を歩く会(京歩会)」というものだった。

 

最初は和辻哲郎の「古寺巡礼」のような硬派なサークルだと思っていたが、果たしてその実態は……、週末ごとに女子大や短大と合ハイを重ねるだけの超軟派な輩たちの集まりだった。

 

新歓コンパにはとりあえず参加したが、軟派をしまくる先輩たちや酔った女子大生たちの行儀の悪さに私の理想の女性像は粉々に破壊された。また年上の女性が酔うと手が付けられないことがわかった。

 

「京歩会」は新歓コンパ終了後に即退会し、以来京都の名所をわざわざ訪れることは少なくなっていった。

 

 

当時「何時でも行ける」と思っていたところで実際に行ったところは殆どない。時間はいくらでもあったはずだが、京都の4年間、大した名刹をめぐることができなかったことが今も心残りとなっている。

 

いつの日かゆっくりと京都を旅して、心行くまで寺社仏閣などめぐることができればと思っている。

 

 

 

以下の京大の過去問は、そんな京都の文化財についての私の気持ちに通じるものである。

 

(問題)

私たちは、周囲にあまりにもたくさんある文化財になれっこになって、その存在を当然のように思いがちである。しかしほんとうは、一つ一つの文化財は、それを維持するために尽くしてきた数多くの人々の多年の努力の結晶なのだ。文化財をおろそかにすることは、そうした人々の努力をないがしろにすることであるという事実を忘れてはならない。

(2002年 京都大学)

 

(拙・和文英訳)

We have become so familiar with many cultural properties around us that we are liable to easily think that they exist around us as a matter of course. However, to tell the truth, each of those cultural properties is the fruit of long years’ efforts by the people who have devoted themselves to maintaining them. We must keep it in mind the fact that we might as well make light of such people’s efforts as neglect those cultural properties.