続・英語の散歩道(その88)-杜牧「山行」-「色づく街」と「酸っぱい経験」 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

二十四節気の「霜降(そうこう)」はとっくに過ぎて、明日11月7日ははや「立冬」である。朝晩少し肌寒く感じられるのも時節である。

 

 

セイタカアワダチソウ(背高泡立草)の黄色い花があちこちで盛りとなっている。北米原産の外来植物だがその由来は第二次大戦後、米軍の輸入物資に付着した種子により分布が拡大したものらしい。

 

元々観賞用、蜜源植物として導入されたが、喘息などの原因と誤解されたこともあり外来生物法により要注意外来生物に指定されている。

 

 

 

気が付けば紅葉が見頃となってきている。これから2週間くらいがピークだろう。今年はウィークディにゆっくりと紅葉狩りができそうだ。

 

因みに「もみじ」は上代には「モミチ」と発音された。漢字も上代では「黄葉」。平安時代以降「紅葉」と書かれるようになったらしい。

 

山野に紅葉をたずねて鑑賞することを「紅葉狩り」と呼ぶが、昨今の地球温暖化の影響で紅葉の色づく時期も年々遅くなっている。なお葉の黄色の色素はカロテノイド(carotenoid)、赤色の色素はアントシアン(anthocyan)と呼ばれている。

 

 

「山行(さんこう)」    杜牧(とぼく)

 

遠上寒山石径斜             遠く寒山に上れば 石径(せっけい)斜めなり

白雲生処有人家             白雲生ずる処(ところ) 人家有り

停車坐愛楓林晩             車を停めて坐(そぞろ)に愛す 楓林の晩(くれ)

霜葉紅於二月花             霜葉は二月の花よりも 紅(くれない)なり

 

 

 

(拙現代語訳)

遥々と寂しい山に登っていくと、石の多い小道が斜めに続いている。白い雲がかかっているあたりに人家が見える。

車を停めて思わず夕日に照り映えた楓の林の景色を眺めてみた。霜にあたり紅葉した楓の葉は二月の桃の花よりもずっと赤くて美しい。

 

 

(拙英語訳)

“Mountain Walking” by Du Mu

 

Desolate mountain top afar off commands a stony path running slantwise to a house under the white clouds in the distance.

Stopping the cart to stroll around the maple trees in the twilight, frosted leaves look redder than plum blossoms of February.