「立冬」を過ぎたが冬はまだ足踏み状態のようである。今のうちにせいぜい晩秋を楽しもう。
これは今の時期に限ったことではないが、数匹の猫、時には十数匹の猫が集まりじっと座って日向ぼっこをしているのを時々見かける。これを「猫会議」とか「猫の集会」と呼ぶそうで、英語では cats’ gathering とか clowder(猫の群れ)と表す。
「猫会議」は普通夕方から夜にかけて催されるようで、その目的は地域内の猫同士の顔見せやメンバーの確認、合コン(婚活)、その他政治的な話し合い(ボス決め?)など様々な説があるらしい。
「猫会議」の場所は公園の片隅や駐車場などで、また猫間の間隔は 50cm~1m で緩やかな円を描いて座る…、などなど色々分析する向きもあるが、本来集団行動より単独行動を好む猫たち、この寒空の下、屋外での「猫会議」より炬燵が恋しくなる季節となった。
因みに「かじけ猫」(寒さに悴(かじか)み日向など暖かい場所にじっとしている猫)、「竈(かまど)猫」(温もりが残る竈の灰に埋もれてじっとしている猫)、「炬燵猫」(炬燵の中や炬燵布団の上でじっとしている猫)はいずれも冬の季語である。
猫に関して、学生時代こんなことがあった。
ある冬の日、友人の下宿の部屋で麻雀を打っているとドアの外で「カリカリ」と引っ掻く音がする。開けると猫が入ってきた。猫は我々が麻雀する炬燵のそばで気持ちよく眠っていた。
その日の麻雀は深夜におよび、眠さを堪えて麻雀を続けていると気持ちよく寝ている猫が恨めしく思えた。誰かが配牌や自摸の悪さの腹いせに猫を叩き起こした。猫は驚いて飛び起き、暫くするとまた眠った。このような虐待が何度か続いた。
そしてある時……、叩き起こされた猫がついに怒った。猫は麻雀卓に跳び上がり牌を一通り破壊すると、部屋の隅に行きじっと動かなくなった。以後叩いても起きることはなかった。まるで「置き猫」だった。やはり猫を麻雀に付き合わせてはいけない。
洗牌(しーぱい)の音聞こえずや炬燵猫
※洗牌は麻雀牌を混ぜること。学生時代を思い出しつつ一句ひねってみた。