続・英語の散歩道(その58)-2016年冬麗戦-インフルエンザと納期・品質 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

2015年12月下旬、新日鐵関連のE社から環境関連の英訳案件について連絡が入った。

 

内容は環境関連設備の取扱説明書、運転方案書、検討書、計算書などでファイル数約70、原稿の日本語文字数約100万文字、ページ数はA4サイズで約1,000ページあった。但し納期は2016年3月中旬という。

 

「果たして引き受けるべきか ……?」と思案した。一案件でこれほどの規模のものは経験が無かった。また納期も相当厳しい。ただ売上高は単独で確実に1,000万は超える。結局「やるしかないか!」と引き受けた。

 

 

 

2015年12月末までに第一期の原稿群が入ってきた。原稿の内容を確認して数名の翻訳者をアサインした。近郊の翻訳者には来社してもらい直接原稿を見てもらった。英訳対応の可否を確認のうえ翻訳したい原稿を選択してもらった。

 

年内最終営業日は、通常昼から大掃除、午後3時から納会というスケジュールとなっていたが翻訳・通訳部門は大掃除の時間が無く納会のみ参加し、物々しい雰囲気まま年末・年始の休暇へと突入していった。

 

 

2016年は大型案件の緊張感の中で明けた。2016年の冬は一般的には暖冬と言われているが、ここ北九州では1月下旬から厳寒となった。一日の最高気温が零下という異常な低温が続いた。

 

 

 

私は訳語の標準化、英訳のチェック、編集後の最終チェックと全体の進捗管理を担当したが、原稿量に対する納期の厳しさを日々感じつつ完成品の納入を随時進めていった。

 

 

2016年1月下旬、巷ではインフルエンザが流行り始めていた。インフルエンザには30代の前半に罹ったのが最後で「俺が罹るわけがないっ!」と高を括っていた。

 

……が、過労が祟ったのか2月初旬インフルエンザに罹患した。4日間ほど病休を取ることになった。進捗状況がだんだん厳しくなっていった。

 

設計部門と合わせて100名以下の職場だったが、社長を含めて20名以上がその年インフルエンザに罹患した。翌年以降、会社はインフルエンザ・ワクチン接種費用を会社負担することとし、私も翌年以降は必ずインフルエンザ・ワクチンを接種している。

 

 

 

インフルエンザの影響はあったものの本案件は納期までに何とか全ての原稿の英訳を納品することができた。ただ、一部品質のキープが難しいところもあった。

 

 

やはり品質と納期を両立させることは難しいということを改めて思い知らされた案件となった。