2010年から2011年の年末・年始は乾燥した晴天が続いた。年末ふらっと日帰りで行ったのが大分県中津市の八面山 金色温泉だった。ここは一軒宿「こがね山荘」の温泉で、随分後にパートナーと泊りがけで行くことになった。
その時は八面山の頂上まで行った。山頂には「大池」と展望台があった。娘さんを連れた若い父親と少しだけ言葉を交わした。山頂からの眺めは素晴らしかった。
この年末・年始、ひとりドライブの途中、日頃あまり見かけない動物たちに出会った。猿とキジ(雉)である。猿の群れを見たのは田川郡香春町の国道322号線の旧道付近で、寒さからか餌を探してか人里に降りてきたのだろう。
キジを見たのは山口県下関市豊浦の風力発電施設の周辺だった。車を停めて風力発電設備が林立する丘陵を散策していて気がつくと逃げもせずに隣にいた。実に綺麗な鳥だった。
今にして思えば ……、この猿とキジ、まるで桃太郎の「鬼退治」である。S社への入社は2011年3月に決まっていた。何かを暗示していたのかも知れない。
2011年の年明け以降S社の行事に呼ばれることが多くなった。2月にはUさんが長期間にわたる住友金属工業㈱小倉製鉄所(現・日本製鉄㈱八幡地区(小倉))構内での通訳を終えて職場に戻ってきた。その慰労会や社内レクレーションのボーリング大会にも参加した。
2011年3月1日(火)。K社長から辞令を交付されてS社に入社した。役職はマネージャーだった。前の職場を退職してから4年4か月(52か月)ぶりに再びサラリーマンになった。年齢もこの月数と同じ52歳で妙な符合を感じていた。
2011年3月4日(金)。若松区本町の「栄寿司」で私の歓迎会が行われた。翻訳・通訳グループのメンバーたちが私の入社を祝ってくれた。この店の店員さんは絣(かすり)の作務衣を着た可愛い娘さんが多く、寿司も肴も美味かった。
3月上旬、確定申告のため午前中休暇をもらって税務署に申告に行った。昼から出社して一息着いたところに、突然のニュースが舞い込んできた。