通信教育「ビジネス法務・契約書総合講座」は基礎講座が3か月、専門講座が6か月の合計9か月のコースだったが、通常のペースの2.5倍程度のスピードで進めて2007年7月末にはコースの全課題を提出した。
通信教育の修了を待たずしてTQEに申し込んだ。受験の時期は2007年6月初旬だった。英文和訳、和文英訳の両方を申し込んだが、まさに度胸試しの受験だった。試験問題が金曜日の夕刻に送られてきた。提出期限は翌週水曜日の17:00までだった。
問題は英文和訳が判決文、和文英訳が契約書だった。通信教育の教材の全てを履修しておらず未知の範囲の教材を読みつつネットを検索しながらの翻訳が続いた。英文和訳、和文英訳ともそれぞれ十数時間を掛けてどうにか訳文が完成し期限までに提出できた。
答案提出後に感じたのは「翻訳とはこれほどエネルギーを使うものなのか!?」ということと、「通信教育のテキストをペラペラとめくっているようでは埒が明かない。データ化して検索できるようにしておかなければ ……。」ということだった。
強いて言えば、和訳より英訳が面白く感じたが、英訳の場合、ポイントは動詞だった。日本語から浮かぶ動詞ではなく、辞書で本来の意味や使い方(構文)をきちんと確認する必要があることがわかった。
TQEの合格点は70点である。細かくは70点以上が3級、80点以上が2級、90点以上が1級の翻訳実務士に認定されるが合格者の殆どが3級だった。とにかく70点取れれば良いのだが「まあ無理だろう!」が正直なところだった。
TQE受験後、まず始めたのはデータ入力だった。通信教育のテキストにある重要な単語、熟語、構文や表現などを「英語-日本語テーブル」の形でWORD入力していった。EXCELにしなかったのはスペルチェックが即座に行えるからで、またTQEの答案をWORDで作成・提出することも理由だった。手間の掛かるものだが、後々これが威力を発揮することになった。
それに加えて、法律英語に関して以下の参考文献を読み漁った。絶版になっているものもあり殆どはAMAZONのマーケット・プレイスから入手した。
①国際法務と英文契約書の実際(吉川達夫他著/アイエルエス出版)
②入門アメリカ法(丸山英二著/弘文堂)
③国際取引法(松枝迪夫著/三省堂)
④海上保険概論(亀井利明著/成山堂書店)
⑤法律英語のカギ(長谷川俊明著/東京布井出版)
⑥続・法律英語のカギ(長谷川俊明著/東京布井出版)
⑦法律英語のプロ(長谷川俊明著/東京布井出版)
さらに①~⑦に収録されている重要な英文表現などを抽出しデータ化していった。これもまた骨の折れる作業だった。古い書籍で中古品もあり下線や注記が施されているものもあった。古書独特のノスタルジックな香りに図書館にいるような錯覚を覚えた。
受験から2か月くらいした2007年8月初旬、6月のTQEの結果が発表された。英文和訳・和文英訳ともに67点で不合格だった。ただこの時は「あとたった3点なら次回は楽勝だなぁ~」と安易に考えた。だがTQEはそんな甘いものでは無かった。