特集・入試英作文への挑戦(その19) | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

翻訳者になった頃くらいから、自分の時間が増えたのか、暇を持て余していたのか、旧友たちとの交友関係が増え始めた。

 

収入がなかなか安定しないフリーランス翻訳者とは孤独な商売である。仕事が来なければ暇だし不安だし、一旦仕事が入り始めると納期に追われ、夜も昼も無くなる。泣く泣く仕事を断らなければならないときもある。辛い仕事である。

 

そんな時に声を掛けてくれたのが高校や大学からの旧友たちだった。実に有難く思えた。

 

私はそんなに強い人間ではないので、これまでも友人たちに相談したり意見を聞いたりしながら生きてきたし、これからもそうするだろう。もちろん彼らに迷惑を掛けない程度に。

 

 

翻訳者になって良かったのは旧友たちから英語に関する相談を受けることが増えたことである。和文の原稿を見て間接的に彼らの仕事を知ったり、協力して一つの作品(英訳)を完成することもできた。それらのすべてが良い思い出となっている。

 

 

次の問題文は、やや高尚で少し古い時代の友情について述べているように思われる。昔読んだ、武者小路実篤の「友情」の触りの部分を思いだす。

 

友情とはもっと人間的なものであり、そんなにストイックに考える必要はないのではないか、と思う。

 

 

問.次の文を英訳しなさい。

 

友情には、私利私欲をさしはさまないのが本当だと思う。私は友人に、私のために何か取計らってくれと頼んだり、物質的な利益を得られるようにしてくれと頼んだりしたことはほとんどない。ただ友人とのつき合いを楽しみ、彼らも私とつき合って喜んでいるのを見て満足しているだけである。

1991年 京都大学・前期)

 

(流離の翻訳者・拙訳)

I believe that a true friendship should stand aloof from self-interest. I have scarcely ever asked a friend to deal with something for me, or to bring some material benefits to me. I’m just enjoying relationships with them, and also being satisfied to see them feeling delighted with friendly relations with me.