父や叔父たちを見ていると、父方の家系は理数系科目が得意だったように思われる。叔父たちも皆、今でいう「エンジニア」と呼ばれる職業に就いていた。
それに加えて、父は若い頃から俳句を嗜み、また達筆でもあったため、私は小さい頃から「国語は日本人ならできて当たり前!ましてや数学など数字が数えられれば誰でもできる!」と言われ続けて育った。
そんな私が数学に挫折したのは中学2年くらいのことだった。全く勉強しなかったこともあったが、中間・期末試験などの成績はひどいものだった。そんな状況が中学3年のときに一転した。家庭教師の千鶴さんのお蔭である。「因数分解」など代数系が面白くなった。
高校でも数学はスロー・スターターだった。高校1年時の数学の成績は目も当てられない状況だったが、高校2年のとき数学教師の全員が入れ替わり「数列」を学んだくらいから面白いと感じるようになった。
旺文社の問題集を買って解くようになり、高校1年時の「数学Ⅰ」の内容も自主的に復習するようになった。この辺りは「四人組」の影響が大きい。
大学では数学はさしたる勉強はしなかった。強いて言えば「文科系のための線型数学」(志村利雄著・東京図書)を読み上げた程度だった。微積分は「イプシロン-デルタ論法」で挫折した。
以来、数学についてまともな勉強は全くしていない。
今の仕事があとどれくらい続けられるかわからないが、時間ができたら数学を一からやり直してみたい。今は「数学検定」というものがある。できれば高校(理科系)卒業程度(「数学検定」準1級程度)までは頑張ってみたい。
次の問題は、珍しく数学をテーマとしたものである。これを真理と思うかどうかは人によるだろうが、久しぶりに技術英語を翻訳した気持ちになった。
問.次の文を英訳しなさい。
数学は、少し先へ進んで、わからないとなったら、どうにも手のつけようがありません。公式もなんにも知らないで、自力だけでなんとか解決のつくたちの仕事ではないからです。しかし、その際でも、ごく初歩の初歩から、そっくりやり直す気で勉強するうちには、案外数学もやさしい、やさしいどころか面白いものだ、そう思うに違いありません。
(1994年 京都大学・後期)
(流離の翻訳者・拙訳)
In learning mathematics, once you become unable to understand it at a little advanced stage, it will be beyond your control no matter how hard you may try. This is because mathematics is not such a kind of work that can be solved only by yourself without knowing anything about its formulae. Nevertheless, even in such a case, while you are learning mathematics steadily from the very first step, intending to relearn all of it, you will surely think that mathematics is easier than you had expected, or you may even find it interesting, rather than being easy.