昨日の荒天は去り今日は暖かくなった。今桜は五分咲きほどか。今年も「桜の思い出」のシーズンが過ぎ去ってゆく。
「和文英訳の修業」(佐々木高政著、文建書房)に「翻訳について」という章があり、そこに「翻訳を行うにあたっての態度」について書かれた件がある。
「普通の場合は原文の語句に拘泥せずその意味の核心をしっかりつかみそれを英語に移す、すなわち翻案的態度を取ればよいのである。翻案ができるためには二つの条件が必要である。一つは日本語の解釈力がしっかりしていること、もう一つは原文のideaを英語で表現するためにそれを自在にreshapeする頭の柔軟さを持っていることである。」
この書は翻訳の勉強を始めた頃に読んだものだが、初心を忘れず、上文を再度心に銘記しておきたい。
それでは次の問題に挑戦する。原文の著者の井村裕夫氏は医学博士で1991年から1997年までの間、京大総長を務めた方である。
問.次の文を英訳しなさい。
女性が従来学問の世界で十分活躍できなかったのは、男性中心で作られてきた社会に原因があったことは疑う余地はありません。とくに我が国は従来年功序列の社会でありましたので、出産、育児のために女性が休むことは昇進の面で著しく不利でありました。今後は休んだ後の復職を容易にするとともに、復職後業績を上げれば速やかに昇進できる体制を作り上げていかねばなりません。
(井村裕夫「時計台の朝」)
(2005年 京都大学)
(流離の翻訳者・拙訳)
There is no room for doubt that women had been heretofore unable to play an active part sufficiently in the academic world due to the academic society having been built as a male-dominated society. In particular, since Japanese society had been based on the seniority system so far, a female worker, who took a leave for childbirth or childcare, became remarkably disadvantageous for promotion. In the future, we should make it easier for such female workers to return to work after taking the leaves, as well as establish a system that they can be promoted promptly if they achieve good results after returning to work.