「登鸛鵲楼」 王之渙 -自作英訳初版- | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

仕事でも勉強でも一つの頂を征服すると、更に一つ上を目指したくなる。そこからどんな風景が見えるか知りたいからだろう。歳をとってもそんな向上心は失いたくないものである。 

 

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「江南の三大楼閣」として「黄鶴楼」「滕王閣」および「岳陽楼」があり、以前それぞれの漢詩を紹介したが、他にも楼閣に登って詠まれた漢詩は数多い。

 

鸛鵲楼(かんじゃくろう)「鸛」「こうのとり」「鵲」「かささぎ」のことで、そんな鳥たちが飛来した楼閣だったのだろう。英語では“White Stork Tower”と称されているようである。

 

一つ上の階から見えた景色がどうだったのか?それをどう感じたのか?それについてこの詩は全く触れていない。結局それは登ってみなければわからないのである。

 

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登鸛鵲楼」   王之渙

白日依山盡          白日(はくじつ) 山に依りて尽き

黄河入海流          黄河 海に入りて流る

欲窮千里目          千里の目を(きわ)めんと欲して

更上一層樓          更に上る一層の楼

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(現代語訳)
太陽は山に向かって沈んでゆき、黄河は海に向かって流れている。この雄大な景色を千里の果てまで見極めようとして更に一つ上の階へと登った。

 

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(自作英訳初版)

“Climbing of the White Stork Tower” by Wang Zhihuan

The sun sinks toward the mountains, and the Yellow River flows and melts into the sea.

Desiring to command a sweeping view of the eye, I’ve gone upstairs of the White Stork Tower.