当時のテレビ番組の話題をもう一つ。土曜日の午後「高校教師」という番組があった。主演は加山雄三で英語教師の役、またやや老けた女子高生もたくさん出てくる。夏木マリが歌う主題歌「裸の青春」もなかなか良かった。高校1年時(1974年)の放送だが、今もYouTubeで懐かしい映像を見ることができる。
因みに、大学1年夏「ラブ・アタック」という番組に友人が「アタッカー」として出演し応援団の一人として大阪のスタジオに行った。この時のゲストが夏木マリさんで、ご本人を拝見することになった。
閑話休題……。「青葉繁れる」は井上ひさし(1934~2010)の小説で、本人の高校時代の経験をもとに書かれたものである。1974年にテレビドラマ化、同年映画化もされている。映画は見ていないがドラマを少し見て、文庫本を買って読んだ。
井上ひさしの母校の仙台一高を舞台にした物語で、東京の名門、日比谷高校からの転校生を巻き込んだ青春ドラマだった。時代は古いが、自分の高校生活とも重なりとても楽しく読めた。この時、少し古い時代の青春や仙台という街に興味を持った。
父が北杜夫(1927~2011)の「ドクトルまんぼう青春記」を持っていて、これを借りて読んだのも同じ頃である。北杜夫は旧制・松本高等学校(現・信州大学)から東北大学医学部に進んでいるが、ここには旧制高校の弊衣破帽の「バンカラ」の青春が描かれていた。
折しも「日本寮歌祭」がテレビで放送された。「バンカラ」の旧制高校のOBの姿を見ることができた。また文語調の寮歌の歌詞やメロディが好きになった。
旧制高校のうちのナンバー・スクール(第一から第八高等学校)の話は父からよく聞かされていたが、このうち「青葉繁れる」の仙台にあった旧制・第二高等学校、つまり「東北大学」に行きたいと思うようになった。
ナンバー・スクールなら、旧制・第五高等学校(熊本大学)や旧制・第七高等学校(鹿児島大学)のような近場もあったが、「杜の都」仙台への憧れが強くなっていた。
以前から文科系を考えていたが、弁護士や裁判官など「正義の味方」のような職業に憧れていたところもあり、高校2年の冬頃(1976年初頭)までに第一志望を、東北大学法学部に決めた。
結局、1977年3月、東北大学法学部を受験することになった。その年の法学部の受験会場が仙台一高、すなわち井上ひさしの母校、「青葉繁れる」の舞台だった。