高校1年時のある数学教師のことを追記しておきたい。
その教師は、最初の授業で「数学Ⅰ」の教科書を手に持って「この教科書をもう全て読み終わった者はいるか!?」と我々に質問した。もちろん手を挙げる者などいなかったが、彼によれば「前任校では、1クラスに1人や2人は必ず手が挙がったものだ」そうで、この「前任校では」が彼の口癖であることが追って判明することになった。
この数学教師、私のクラスの同級生の苗字の読み方を誤って覚えたまま、その生徒が卒業するまで本人や同僚の教諭などに確認することもなく是正することもなかった。数学担当ではあるが、あまり合理的な頭脳では無かったようである。
クラブ活動では、入学後すぐ卓球部に入部した。ただ、中学での部活経験が無い私に放課後の練習は相当きつかった。また、校舎の周りを走る⇒素振り⇒球拾いが中心で殆ど球は打たせてもらえなかった。クラブ活動を終えて家に帰ると8時くらいで夕飯を食べるとすぐ眠くなった。殆ど勉強などできてなかった。
最初の中間テストも大した準備もせずに臨み、結果は酷いものだった。結局、卓球部は1学期が終了する前に退部した。高校では勉強もスポーツも頑張ろうと燃えていたが、早々に暗雲が立ち込めていた。また、これで勉強の不振をクラブ活動のせいにすることもできなくなった。
夏休みが近づいたが高校では「補習」があることに驚き幻滅した。補習は早朝から午前中までだったが、夏休みに朝から制服を着て学校に行かねばならないことに違和感もあり疲労感もあった。だが学校に着くとそんな感情は消えていた。
補習の科目は国・数・英で、英語のテキストは”Alone in Japan”というエッセーだった。英語圏の外国人が初めて日本を訪れたときの感想を綴ったものだった。未知の単語がたくさん出てきて文法なども難しかった記憶がある。
8月に入り補習も終わり本当の夏休みになった。ある生徒から「山口県の青海島にキャンプに行かんか?」と誘われ総勢5人で3~4泊のキャンプに行った。飯盒炊飯や料理作りなど初めての経験で面白く、また夜、砂浜に寝転ぶと満天の星空がとても美しく不思議で、流星もいくつか見ることができた。
この時同行した同級生4人とは、何故か親しい友人にはなれなかったが、2学期に入り、この青海島の満天の星空が縁で、ある親友と巡り合うことになった。