今年はもう季節が過ぎてしまったが、先日ある神社を訪れた時、その日本庭園に牡丹が数多く植えられているのを見た。一か月ほど前なら随分美しかったことだろう。
以下は令和改元の2019年5月に書いたエッセーからの引用である。
春先、自宅の庭の片隅の二箇所から植物の芽らしきものがまるで土筆のようにニョキニョキと生えてきました。どちらも赤茶色でそれぞれ数本(株)あり何やら不気味です。
四月に入りそのまま放って置いたら茎はどんどん伸びて葉もたくさん生え、茎の先端には大きな蕾ができました。蕾から僅かに覗く花の色は、片方が淡いピンク、もう片方は濃いピンクのようです。
どんな花が咲くだろうと思っているうちに大型連休に入り、そんな花のことも忘れて新しい時代が始まったその日、庭を見ると大輪の芍薬の花が開いていました。芍薬は五月の誕生花、その花言葉は「恥じらい・はにかみ」。令和の青空に映えていました。
「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花《諺》」
She sits and stands a peony and walks a lily.
※上記英訳はある和英辞典からの引用ですが、動詞の順序が動作に合わせたより自然なものとなっており、またa peony, a lilyの前に形容詞(前置詞)のlikeが省略されて恰も他動詞のように使われている詩的な表現と思われます。因みに芍薬をgrass peony牡丹をtree peonyと区別する場合もあります。