疫病退散の神々-「アマビエ」など… | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

今朝のニュースで、大分市の高崎山自然動物園が、今年最初に誕生した赤ちゃんザルに「アマビエ」と命名したという報道を聞いた。

 

様々なデザインのマスクが売られたり、神社や寺院などで「アマビエ」を(かたど)ったお守りなどが販売されたりと、節操なくビジネスに結び付けている感が否めない。

 

以下は「アマビエ」という言葉流行り出した20206月に書いたエッセーからの引用である。

 

 

COVID-19の感染拡大を受けて、所謂(いわゆる)疫病退散の神々が脚光を浴びています昨今よく耳にするアマビエ(熊本)や、メジャーなところでは須佐之男命(すさのおのみこと)(日本神話)、その他神社姫(じんじゃひめ)(長崎・佐賀)クタベ(富山)岐の神(くなどのかみ)(徳島などがあります。

 

海外では鐘馗(しょうき)中国・道教)セクメト女神(エジプト・神話)などがありますが鐘馗(大臣)は日本でも疱瘡(ほうそう)除けや学業成就の神として端午の節句に人形を飾るなどの風習が残っており能楽の演目日本陸軍の弐式(にしき)戦闘機の愛称にもなっています。

 

「アマビエ」を説明した英文を見つけました。若干改訂したものを以下に記載します。

 

AMABIE is a reportedly auspicious yokai (legendary creature) that first appeared in the archives of the former Higo Province in 1846. The article described in the archives is as follows. A government official was investigating a mysterious green light in the water. When he arrived at the spot of the light, a glowing-green creature with fishy scales, long hair, three fin-like legs and a beak emerged from the sea. The mysterious mermaid-like (or merman-like) creature introduced itself as AMABIE, and made two predictions: a rich harvest would bless the province for the next six years, and a pandemic would devastate the whole country. Further, AMABIE instructed the government official, in order to stave off the spread of the pandemic, to make someone draw an image of AMABIE and to show the image to as many people as possible.

 

「アマビエは、1846年に初めて旧・肥後藩の古文書に現れる吉兆を呼ぶと伝えられる妖怪です。その古文書に記載された記事は以下の通りです。ある役人が海中から発せられる謎の緑色の光を調べていました。彼がその緑色の光の所に着くと、全身が魚の鱗に覆われ長い髪、3本の(ひれ)のような足、また1本の(くちばし)持った鮮やかな緑色をした生き物が海中か現れましたその不思議な人魚のような生き物は私はアマビエというと名乗るとつの予言しましたつはこれから6年間は豊作が続いて藩に恵みをもたらすであろうということもうつはある疫病が流行して国全体を荒廃させるであろうということでしたさらに、アマビエはその疫病の蔓延をくい止めるためには誰かに自分の絵を描かせその絵をできるだけ多くの人々見せなさい役人に命じました。