今日は天気も良く穏やかな一日だった。そんな中また一つ歳を重ねた。
以前から英訳したいと思っていたものの初版ができたので公開する。悠久の時の流れと虚無感を感じる詩である。
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「黄鶴楼」 崔顥(さいこう)
昔人已乗黄鶴去 昔人(せきじん)已(すで)に黄鶴に乗りて去り
此地空餘黄鶴楼 此の地 空しく余(あま)す黄鶴楼
黄鶴一去不復返 黄鶴一たび去りて復(ま)た返らず
白雲千載空悠悠 白雲千載(はくうんせんざい)空しく悠悠
晴川歴歴漢陽樹 晴川歴歴(せいせんれきれき)たり漢陽の樹
芳草萋萋鸚鵡洲 芳草萋萋(ほうそうせいせい)たり鸚鵡(おうむ)洲
日暮郷関何處是 日暮郷関(にちぼきょうかん)何れの処か是なる
煙波江上使人愁 煙波江上(えんぱこうじょう)人をして愁えしむ
(口語訳)
昔々仙人がここから黄色い鶴に乗って去って行ったと聞くが、今はただ黄鶴楼が残されているだけである。
あの黄色い鶴は一度飛び去ったきり戻って来ることは無く、ただ白い雲だけが千年もの時を超えて悠々と浮かび続けている。
晴れ渡った川の向こうに漢陽の樹々がはっきりと見えて、鸚鵡洲と呼ばれる川の中洲には春の草花が青々と茂っている。
そんな日暮れ時、ふと私の故郷は何処だったのだろうか?という疑問が脳裏をよぎり、靄(もや)のかかる川面がさらに私に郷愁を募らせるのである。
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(自作英訳初版)
“
A hermit had flown away on a yellow crane, leaving behind the
The yellow crane, once it has flown off, would never come back despite vacant white clouds floating for thousands of years.
Green trees stand out clearly across the river in Hanyang, while fragrant herbs are flourishing on the Parrot Shoal.
Wondering where my hometown really was in the twilight, I'm feeling a sense of nostalgia veiled in an evening haze covering the river surface.