またまた久しぶりのブログ更新である。
熊本・大分の地震で揺れた四月は去り風薫る五月となった。前期の数字も固まり今期もはや1か月が過ぎた。この時期に吹くやや強くて冷たい風を青嵐(あおあらし) と呼ぶが、今日もそんな風が吹いていた。
今の季節にぴったりの詩を以下に紹介する。「七言古詩」という形式のようである。
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「河南府試十二月楽詞、幷閏月四月」 李賀
暁涼暮涼樹如蓋 暁に涼しく暮れに涼しく樹は蓋の如く
千山濃緑生雲外 千山(せんざん)の濃緑(のうりょく)雲外(うんがい)に生ず
依微香雨青氛氳 依微(いび)たる香雨(こうう)青(せい)氛氳(ふんうん)たり
膩葉蟠花照曲門 膩葉(じよう)蟠花(ばんか)曲門(きょくもん)を照らす
金塘閒水揺碧漪 金塘(きんとう)の閒水(かんすい)碧漪(へきい)揺れ
老景沈重無驚飛 老景(ろうけい)沈重(ちんじゅう)にして驚飛(きょうひ)する無く
堕紅残萼暗参差 堕紅(だこう)残萼(ざんがく)暗(あん)に参差(しんし)たり
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(現代語訳)
夜明けは涼しく日暮れもまた涼しく、生い繁る樹がまるで天蓋のようだ。山々の濃い緑が雲から突き出て見える。細かな香りのよい雨が青い靄(もや)のように立ちこめ、厚い緑葉、びっしりと詰まって咲く花が紆余として曲門に映えている。
石畳の堤の閑かな水は碧の漣(さざなみ)を立て、終わりゆく春景色の日差しは重く緩やかで、慌しく散る花も無い。散り落ちた真紅の花びらと残った萼(がく)が暗い樹の下で入り交じって見える。