「送元二使安西」 王維 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

新緑が目に眩しい初夏となった。暖房器具を片づけ衣替えも殆ど終えた。今年は暑くなるのが早いかも知れない。

 

以下のあまりに有名な漢詩、実はこの季節にピッタリなことに気がついた。

 

新緑の中の送別は考えにくいが、4月に入社した新入社員が、正式な配属が決まってこの時期全国に散ってゆくケースもあるだろう。人生は一期一会である。

 

・・・・

 

「送元二使安西」     「元二の安西に使(つかい)するを送る」 王維


渭城朝雨浥輕塵     渭城(いじょう)の朝雨軽塵を潤す

客舎青青柳色新     客舎青青(かくしゃせいせい)柳色新たなり

勧君更盡一杯酒     君に勧む更に尽くせ一杯の酒

西出陽關無故人     西のかた陽関(ようかん)を出ずれば故人無からん

 

(現代語訳)

渭城の朝の雨は軽い砂埃をしっとりと濡らし、旅館の前の柳も雨に洗われて青々と清々しい。

今旅立つ君よ!さあここでもう一杯飲んでくれ。この先、西域との境の陽関を出たら、もう友人は誰一人居ないのだから。