「パロディと翻案」(“parody” and “adaptation”) | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

先週は花粉の飛散がひどくて、目の痒みやくしゃみの連発に見舞われた。週末には雨が降って今日はまた日が射し始めた。そんな雛祭りの日曜日である。


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先日ある番組で「パロディ」(“parody”について取り上げていた。北海道の銘菓「白い恋人」と吉本興業の「面白い恋人」に関連したものだった。


「パロディ」とは「文学作品の一形式。よく知られた文学作品の文体や韻律を模し、内容を変えて滑稽化・諷刺化した文学。日本の替え歌・狂歌などもこの類。また広く絵画・写真などを題材としたものにもいう。」(広辞苑)のことで、元々は芸術作品についていうようである。


フランスではパロディを製作する権利が法的に認められており、著作権法の中で「パロディは著作権侵害ではない。」(著作権法第122条の5(4)項・パロディ条項)と明文化されている。


しかし日本の場合はパロディについて明確な規定がなく、原著作権者が著作権の侵害を主張して提訴し、裁判所にその救済を求めたり和解が成立するケースも多い。


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パロディと似たものに「翻案」(“adaptation”がある。これは「既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的な表現形式を変更して新たな著作物を創作する行為」と解されている。


翻訳も翻案権の一つであり、小説を映画化、ドラマ化することも翻案である。古い話では黒澤明監督の「七人の侍」(1954を翻案して製作されたのがアメリカの映画「荒野の七人」(“The Magnificent Seven”, 1960である。


しかし当時は著作権等の知的財産権に関する法が整備されておらず、アメリカ側が支払った翻案権の買取料は僅かなものだったらしい。


ある著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化などしてできた新たな著作物を「二次的著作物」(“derivative work”と呼ぶ。


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Parody:

A parody is a humorous piece of writing, drama, or music which imitates the style of a well-known person or represents a familiar situation in an exaggerated way.

「よく知られた作者のスタイル(文体・様式)を真似した、またはおなじみの状況や場面を誇張して表現した滑稽な著作、演劇または音楽。」


Adaptation:

An adaptation of a book or play is a film or television program that is based on it.

「ある著作や演劇を元に製作された映画やテレビドラマ。」