「山亭夏日」 高駢 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

一日梅雨空が広がった、湿度が高い中朝から様々な用事をこなし気がつけば夕方である。今しがたまた強い雨が降りだした。

梅雨も後半戦だがそろそろ上がって欲しい。雨も十分降ったろう。いっそのこと早く夏になれ!

・・・・

「山亭夏日」        高駢(こうべん)

綠樹陰濃夏日長     緑樹 陰濃(こまや)かにして夏日(かじつ)長し

楼台倒影入池塘     楼台 影倒(さかしま)にして池塘(ちとう)に入る

水精簾動微風起     水精(すいしょう)の簾(れん)動きて 微風起こり

一架薔薇満院香     一架の薔薇(しゅうび) 満院(まんいん)香(かんば)し


(現代語訳)
「山亭の夏日」
木々の緑が濃い陰を落として、夏の日の長さを感じる。
池の辺(ほとり)の楼台はその姿を逆さまに池の表面に映じている。
ふと微かな風が吹いて水晶の簾(すだれ)が動き、
棚に置かれた薔薇の花の香りが部屋中に満ちてきた。