「垓下歌」 項羽 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

今日は二十四節気の「大寒」だったが、一日陽が射す穏やかな天気だった。こんな日を「小春日和」というのではないか。


昨晩何気なくテレビをつけたらALWAYS続・三丁目の夕日」をやってた。3回目くらいだが結局最後まで見た。好きなキャストが多いこともある。


西岸良平氏の原作(漫画)「三丁目の夕日(夕焼けの詩)」は、20代の頃、同じ寮にいた同期がこのシリーズを結構持ってて借りて読んだ。


絵が可愛いいし、子供や若い人の立場から描かれたストーリーが多く自然とファンになった。また涙を誘うものが多いのも特徴である。


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この映画の中で「鈴木オート」の社長(堤真一さん)が髪の毛を逆立てて怒るシーンがある。まさに「怒髪天を衝く」であるが、この言葉中国の故事に因んだものだが・・・、誰だったか思い出せない。


「項羽の虞美人」・・・?!などと思いきや・・・大きな勘違いだった。何でも調べられる便利な時代である。その故事とは戦国時代の趙の国の「藺相如」(りんしょうじょ)の話である。詳細は以下の通り。


http://www.katch.ne.jp/~kojigai/kanpeki.htm


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また私が勘違いした項羽の漢詩は以下のものである。


「垓下歌」  項羽


力拔山兮氣蓋世     力山を抜き 気は世を蓋(おお)う


時不利兮騅不逝     時利あらずして 騅(すい)逝(ゆ)かず


騅不逝兮可奈何     騅の逝かざる 奈何(いかん)すべき


虞兮虞兮奈若何     虞や虞や 若(なんじ)を奈何(いかん)せん


(現代語訳)

私の力は山をも動かすくらい強く、その気迫は世の中を蓋い尽くしてしまうほどだが、

時は私に味方してはくれず、愛馬の騅(すい)さえ進んでくれない。

騅が進まなければ、どうしようもない。

虞(愛妃)よ、虞よ、お前をどうしたらよいだろう。


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ともあれ「怒髪天を衝く」にしても「力山を抜く」にしても中国らしい派手な表現である。なお「虞美人」は英語では”Consort Yu”「虞美人草=雛罌粟(ひなげし)」”red poppy”, “corn poppy”という。


流離の翻訳者 果てしない旅路はどこまでも-red poppy