「冬はつとめて・・・」 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

今朝、出勤時に車のフロントグラスが凍結していた。たぶんこの冬初めてのことである。「小寒」(今年は16日)から「大寒」(今年は121日)の間の今の時期が一番寒い。

昨年の夏、ブログで清少納言の「枕草子」(”The Pillow Book”の第一段「春はあけぼの・・・」の件(くだり)を紹介した。

http://ameblo.jp/sasurai-tran/entry-10981391896.html

最近テレビCM”pillow talk”という言葉が使われているが、これは「睦言(むつごと)・寝物語」の意味なので間違うとえらいことになる。

因みに和歌などで使われる「枕詞(まくらことば)」”pillow word (stock epithet)”というようである。


この枕草子の冬の段であるが・・・。

「冬はつとめて。雪の降りたるはいふべきにもあらず。霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭もてわたるもいとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も白き灰がちになりてわろし。」

最後に京都の冬を過ごしたのは大学3回生の時で、卒業の年は下宿を出て親元に戻りぬくぬくと運転免許を取っていた。

当時の下宿(安アパート)には炬燵以外に暖房はなく、本当はストーブくらいは買えたのだが、そのような金は飲み代に化けていた。早朝は特に寒く、室内に置いた洗面器に氷が張っていたこともあった。

従って「冬はつとめて」など論外である。30年前の学生は平安時代の貴族より生活レベルが下だった、とも考えられるが、たぶん生きることについての気合いの入り方が違うものと思われる。

でも清少納言のように「冬はつとめて(冬は早朝が最も趣がある)」などと思うことは決してないだろう。

流離の翻訳者 果てしない旅路はどこまでも-winter dawn

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