“Charge”のマジック | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

“Charge”には動詞としても、名詞としても意味が多すぎて使いづらい単語の一つである。だからいつもより具体的な語を使用するようにしている。


それでもを担当する」のときの”in charge of”は良く使っている。でも実はこの句ちょっと問題がある。旧ブログで”charge”のマジックについて書いたことがあった。


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1) The old woman is in charge of the dog.

= The old woman takes charge (care) of the dog.

「年配の女性がその犬を預かって(世話をして)いる」


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では”charge”の前に定冠詞”the”を付加した以下の文はどういう意味になるだろう?


2) The old woman is in the charge of the dog.

= The old woman is in the dog’s charge.

「その犬が年配の女性の世話をしている」


定冠詞”the”を付加すると女性と犬の立場は逆転し、犬は介護犬となった。これが”charge”のマジックである。


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以前はこれを定冠詞の力と考えていたがそれは誤りだったようである。おそらく”in charge of””in the charge of”2つの句の「つくり」が異なるからだと思う。


文法を深く追求するよりは、翻訳では誤解を招きかねない2のような文は極力使用しないようにすべきである。