「回りくどい表現」(”circumlocution”) | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

最近他の翻訳者の英文の最終的なチェックをすることが多くなった。自分の翻訳の技量とキャリアを棚に上げて僭越ながら言わせていただければ・・・。


納期の問題もあると思うが、日本語の一文全体をよく読まずに英訳していて冗長かつ不自然な英文をしばしば見かける。


日本語はわざわざ「回りくどい表現」を使っていることが多いが、それをそのまま英訳する必要は無い。日本語の文をよく咀嚼し「実際のところ何が言いたいのか」を明確にして英文にする必要がある。


これは受験英作文と同じプロセスのように思う。ただ受験と異なりビジネス文書の場合は実際に意味不明の日本語の文にも多々お目にかかることである。


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以前「エマーソンの自然論」の難解な英文をブログ で紹介したが、この授業と同じ教養部2回生の時はもう一つ別の英語講義を履修する必要があった。そちらのテキストは”English Literature”というタイトルの原書だった。


英文学における文法や文体等の歴史について書かれたものであり、穏やかな雰囲気の年配の男性講師だったが名前は覚えていない。テキスト自体は難解なものではなかったが、非常に専門的なもので文学部英文科の講義のような雰囲気だった。


このテキストに出てきたもので今でも覚えているものに”circumlocution”という単語がある。確か「回りくどい表現」という意味だった・・・と思う。


Circumlocution:

A circumlocution is a way of saying or writing something using more words than are necessary instead of being clear and direct.

「何かを言葉や文書で表わす場合に、それをはっきりと直接的に表現する代わりに、必要以上の語数を使って表現する方法」


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“Circumlocution”も本来意図されたものであれば読む価値もあるものなのだろうが・・・。


流離の翻訳者 果てしない旅路はどこまでも-circumlocution