震災後、損害保険会社では大変な日々が続いていると思うが、海上保険は中世イタリアの「冒険貸借」に起源する。
「冒険貸借」とは・・・、「船主や荷主が金融業者から航海の資金を借り入れる際に、船や積荷を担保とし、無事船が帰ってこられたら元金とともに高率の利息を返済するが、逆に海難事故などで航海を達成できなかった場合には借入金の返済が免除となる一種の金銭消費貸借」のことである。
当時「航海」が非常に大きな危険を伴ったこと、またこのような「射倖性」を持たせなければ民間からの資金調達が難しかったことなどがこのような契約形態の成立の理由と思われる。
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西洋でも東洋でも「航海」の歴史は古くまた危険が大きかったこともあり、「船」の上から多くの慣用句や故事成句が生まれている。今回その一つを紹介する。
“Between the devil and the deep blue sea”。この場合の”devil”は「大砲台を支えるために船の側面に取り付けられた厚い船板」のことで、この船板を修理することは海とも挟まれた作業で、転落・溺死することもあり非常に危険な作業だったらしい。
「船板と深くて青い海に挟まれて」が転じて「進退窮まって、前門の狼後門の虎、にっちもさっちもいかない状況で」という意味になった。
If we pay the rent to the landlord, we won't have any money for food; we are between the devil and the deep blue sea.
「家主に家賃を支払えば、食物を買う金がなくなる。進退きわまったというところだ。」