慣用句 “gild the lily” | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

慣用句には昔々の著名な文学者や学者が残した言葉に由来するものも多い。これは日本でも同じだろう。今回の慣用句はその類のものである。


“Gild the lily”


直訳は「百合(ゆり)に金箔を被せる」である。果たしてどういう意味か・・・?例文は以下のとおり。


She really doesn’t need all that makeup. That’s like gilding the lily.

「彼女はあんな厚化粧はしないほうがいいよ!だってやりすぎで却って変だもん!」


この慣用句は「余計な飾りで本来の美を損なう」という意味である。シェークスピアが戯曲「ジョン王」の中で以下のような似た表現を用いたらしい。


“To gild refined gold, to paint the lily ・・・ is wasteful and ridiculous excess.”

「純金にめっきをすることや、ゆりに色を塗ることは無駄で、馬鹿げた、行き過ぎた行いである」


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“Gild the lily”は中国の故事「蛇足」の意味にも使えるようであるが、この場合”make an unnecessary addition”という平凡な言い方もある。