和訳の世界では、思わぬ単語が思わぬ品詞で使われているケースによく遭遇する。以前”occasion”が動詞として使われいているケースを紹介した。今回はそれほど稀ではないが動詞としての”harbor”について紹介する。
“Harbor”は名詞では「港」の意味で、英和辞典によると「自然の地形を利用し、人工の堤防を備えた避難港」とあり、「町を含む商業港」を意味する”port”と異なる。
因みに「埠頭」は「港湾内で、船舶を横づけして旅客の乗降や貨物の揚げ下ろしをするための所」で「波止場」とも言う。
「波止場」は「港の波止(はと)のある場所」のことであるが、また「広く、港」を指すこともあり、細かく考えていくと日本語はわからなくなる。なお「波止場(埠頭)」を表わす単語として”wharf”, “quay”, “pier”がある。
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“Harbor”の動詞としての定義を英英辞典で確認しておく。
1) If you harbor an emotion, thought, or secret, you have it in your mind over a long period of time.
「感情、考えまたは、秘密を長期間心に抱くこと」
2) If a person or country harbors someone who is wanted by the police, they let them stay in the house or country and offer them protection.
「人や国が、警察から追われている人を自宅または自国に滞在させ、保護を与えること」
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以下に文例を挙げておく。
She still harbored reservation about its effectiveness.
「彼女はその効果についてまだ懸念を抱いていた」
It is against the law to harbor criminals.
「犯人を匿うと罪になる」
私が出会ったのは以下のような文であるが、「匿(かくま)う」の意味がやや転じて「育む」となっている。
The earth is the only planet in the solar system known to harbor life.
「地球は、太陽系の中で唯一生命を育む惑星として知られている」