「空のなぎさ」 三好達治 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

昨年の今頃は、以前のブログで「大学入試英作文」というシリーズをやっていた。近年の大学入試問題の中から自由英作文を中心に、自分なりに解答を作成しブログに掲載していた。


今年は受験の最中にあんなカンニング事件があり、それもまたその後の大震災で印象が薄れてしまった感がある。今思えば公開できる英文を作るのも結構手間が掛かることであり、今後再開することは無いと思う。

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昨日の記事で詩人「三好達治」について触れたが、50年を超える私の人生で「詩集」というものを買ってまで読んだのは「三好達治」のものだけである。

それももう手許に残ってはいないが、彼の日本語は響きがとても綺麗で、若い頃の私にはとても格調高く思えたからかもしれない。

今日は一つだけ彼の詩を紹介して終わりとしたい。

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「空のなぎさ」       三好 達治

いづこよ遠く来たりし旅人は
冬枯れし梢のもとにいこひたれ
空のなぎさにさしかはす
梢のすゑはしなめきて
煙らひしなひさやさやにささやくこゑす
仰ぎ見つかつはきく遠き音づれ
落葉つみ落葉はつみて
あたたかき日ざしのうへに
はやここに角ぐむものはむきむきに
おのがじし彼らが堅き包みものときほどくなる
路のくま樹下石上に畫の風歩みとどまり
旅人なればおのづから組し小指にまつはりぬ
かくありて今日のゆくてをささんとす小指のすゑに