書店で見かけて衝動買いしたもの.
以前,読んだ「オントロジー工学」
の続編にあたるもので,この本の研究室のメンバが中心になってかかれたものとのこと.
最初にオントロジーについての説明があり,彼らが作った「法造」 の使い方,そしてメインとなるのがサッカーオントロジー構築を題材にしたオントロジー構築とその際におきる間違えとその解説,最後により一般的な上位オントロジーについて述べられている.
初めてオントロジーを学ぶにはそれなりに良い感じかもしれない.
特に実際に「法造」
を使い,サンプルのサッカーオントロジーのデータをダウンロードしてモデルを触りながらというのには向いている感じ.
ただし,本そのものとしてはあまり良くなく,特にモデルに対する解説のところは,読んでいるだけでは分かりにくい.
その要因の一つには引用されているモデルの粒度が良くない.
ある程度のモデルを出し,全体的な説明とその詳細の部分の説明を行っているところが多く,かなり分かりにくくなっている.
簡単に言うと書き手の都合が強く出ていて,読み手をあまり考慮されていない.
実際に構築作業とその講義を聴いた人の報告書(実施レポート)といった感じ.
その点からも実際に作業をして,再度見直すと良い感じとなっている.
正確を期するためか,オントロジーそのものの要素については何箇所も「オントロジー工学」
を参照しており,結局はこちらも必要となっている.
つまり,この本自体はタイトルのとおり「構築」が主眼になっている.
若干気になったのは,構築の際の間違えなどがあまりにも初歩的なところから始まっていて,「オントロジー工学」 を読んで理解していると「何でこんな間違えするの?」と思う点もいくつか.
オントロジーの基礎を理解している人が間違え易い点をどう回避するかという中上級者向けのものを期待していたので,その点ではさすらいびとの期待には及ばなかった感じ.
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