支配する/される図式。エジプトのイスラエル人と現代の日本人(2) | イェホシュアのイスラエルの信仰と証し

イェホシュアのイスラエルの信仰と証し

1世紀のイエスの弟子たちの初代教会が回復したイスラエル教の教会(エクレシア)であるイェホシュアのイスラエル

 

Courtesey of Terry Goodyer

 

聖書全巻を読み解くキーワード「支配する」「支配される」(1)
の続きです。


「支配する/しない」「支配される/されない」というキーワードで聖書を読み進めると、いくつかのカギとなるエピソードが読み取りやすくなります。

○祝福されているから増え広がり強くなるイスラエル人

モーセが率いることになったエジプト居住のイスラエル人の場合も、本来は神から選ばれた民であり、創世記冒頭の「生めよ増えよ地を満たせ」という祝福がありますから、どんどん増えて、民族として強くなっていきます。

イスラエル人は多産だったので、おびただしくふえ、すこぶる強くなり、その地は彼らで満ちた。
出エジプト1:7

○祝福されていない側は常に妬む

しかし、神から祝福されていない民、およびその王は、それを妬む(ねたむ)のです。

聖書では、旧約聖書から新約聖書に至るまで、神から選ばれて祝福された民と、それを妬んで色々の悪さをする民との対立図式があります。また、そこに働いているイスラエルの神と、それに敵対する諸々の神々(詰まる所天から落ちた元御使い。聖書で言うサタン=神に反する者)の対立図式があります。

出エジプト記のエジプトは、増え広がり強くなる民族イスラエル人を見て、ファラオが恐れを抱き、過酷な労働を課します。ここに「神に祝福されていない王による、神に祝福された民族の支配」の図式があります。敵がイスラエルを支配しようとするのです。

さて、ヨセフのことを知らない新しい王がエジプトに起こった。
彼は民に言った。「見よ。イスラエルの民は、われわれよりも多く、また強い。
さあ、彼らを賢く取り扱おう。彼らが多くなり、いざ戦いというときに、敵側についてわれわれと戦い、この地から出て行くといけないから。」
そこで、彼らを苦役で苦しめるために、彼らの上に労務の係長を置き、パロのために倉庫の町ピトムとラメセスを建てた。
しかし苦しめれば苦しめるほど、この民はますますふえ広がったので、人々はイスラエル人を恐れた。
それでエジプトはイスラエル人に過酷な労働を課し、
粘土やれんがの激しい労働や、畑のあらゆる労働など、すべて、彼らに課する過酷な労働で、彼らの生活を苦しめた。
出エジプト記1:8-14

エジプトはよく知られている太陽神ラーなど、エジプト固有の神々の体系を持っています。エジプトの王ファラオはこうした神々を崇拝し、自らが最上位の神官であり、神と直結した王位を持っています。

そうした者の視点から見て、イスラエル人にありありと現れている祝福=増え広がること、民族として強くなることは脅威に映るのです。なので、今のうちに過酷な労働で苦しめておこう、となります。

○支配する側には、それを支える異教の神が必ずいる

これが「支配する側の発想」です。苦しめておこう、過酷な労働を課そう。彼らは下等な民族だから我々が支配しよう。ガチガチのルールを定めて、彼らを奴隷状態に置こう、等々。

その昔、大英帝国がインドを支配した時にも同じような論理があり、意図がありました。

このような「支配する意思」には、必ず、それを支える特定の神がいます。エペソ6章で推奨されている霊的な戦いをやり込んで来ると、そこにいる異教の神に気づきます。イギリスの場合、2ヶ月程度滞在していた時の経験も重ね合わせて理解すると、同地に古くからあるドルイドの神が、支配する霊として働いています。

○奴隷の状況に置いて支配する目に見えない図式

このような「支配」は、現在の日本にもあります。例えば、人々がブラック企業と言う時、そこには目に見えない「支配」があることを、その人々は認めています。単に経営者がブラックなのではない、その状況全体にブラックなものが働いていて、そこにいる従業員たちは奴隷になっている。まさにエジプトにいたイスラエル人のように、奴隷として働かされている。そうした「支配する/される」状況があります。

見渡すと、日本の様々な状況において、「支配する/される」図式があります。義務教育の現場である多くの小中学校において。オンラインやリアルのいじめの状況において。職場において。自民党を中心とする政治の状況において。財閥系の大企業を中心とした企業エコシステムにおいて。

本来、創造主であられる神は、人間を、神に似せて、神のかたちにお造りになりました。「支配される存在」として人間を造っている訳ではありません。

サタン=神に反する者は、聖書の寓話でもなんでもなくて、現在も、様々な状況において活動している、ほぼ全ての人々を目に見えない奴隷状況に置いている、神様と反対の働きをする霊的な存在です。意思を持っており、戦略や戦術を持っており、その土地で崇拝される神としての形を取って、その土地を、その国を支配し、全土を覆って、そこの人々全員を、奴隷の状況に置きます。