聖書全巻を読み解くキーワード「支配する」「支配される」(1) | イェホシュアのイスラエルの信仰と証し

イェホシュアのイスラエルの信仰と証し

1世紀のイエスの弟子たちの初代教会が回復したイスラエル教の教会(エクレシア)であるイェホシュアのイスラエル

Courtesey of Terry Goodyer

 

○イントロダクション

 

聖書全体のストーリーとそこに現れている神の御心を読み解く際に、「支配する/される」「支配する/しない」という言葉に注目して理解していくと、非常にシンプルな理解の道筋が見えてきます。

 

神は確かに、人間に、地の上を支配することを求めておられます。それをデモンストレーションして見せたのが福音書の主イエス・キリストです。このように地を支配しなさいと。しかもその支配は、主イエスの現行にあるように、愛による支配です。決して、プーチンのような悪による支配ではありません。支配の中身がそもそも違うのです。

 

一方で、現在の人間は、キリスト教会の中にいる人間も、外にいる人間も、様々なものに支配されています。目に見えないものに支配されています。その支配の図式や、よって来たるところは非常にわかりにくいですが、根元は、その地域や文化において崇拝されている神です。霊的な支配の図式があります。時には、土着の神ではなくて、外来の神がその地域や教会や人や集団を支配していることがあります。

 

この「支配する/される」「支配する/しない」部分に着目して見ていくと、主イエス・キリストが成したこと、すなわち、聖書の神によるのではない支配からの解放。それがよくわかって来ます。

 

エジプトに見られたように、イスラエルの民は、エジプトによって(それが崇拝していたラーなどの神々によって)支配されていました。奴隷状態でした。そうした支配から解放したのが、神の御子であられるイエスです。

 

そうして、主イエス・キリストが十字架と蘇りによって確立した新しい支配、実はアダムに与えられた支配の回復なのですが、その支配は、主イエス・キリストを信じる人間に委ねられています。不幸にして4世紀以降のキリスト教会史が三位一体によって捻じ曲げられてしまったがために、千数百年にわたって、主イエス・キリストが確立した支配は見えなくなっていましたが、今、ようやく再発見され、改めて、神の国として確立されようとしています。

 

○D社の社是に現れている「支配せよ」

エペソ6章でパウロがイエス・キリストを信じる人々に推奨している霊の戦い。これを本気でやり続けていると、人においても、地域においても、あるいは特定の業界や特定の分野においても、目に見えない形ではあるけれども、聖書の神に反する霊的な存在が、「そこを支配している」ことに気づくようになります。

この図式、ないし、構造は、目に見えないものですからわかりにくいですし、霊の戦いをやりつけていないと、リアリティがある形では理解しにくいです。

例えば、広告業界において最も大きな存在であるD社。ここの社是は「鬼の…」と呼ばれており、非常に有名です。職業人でイエス・キリストの進行も霊の戦いも何も知らなかった頃は、このD社「鬼の…」の社是が、非常にアグレッシブな会社人のあり方を人に植え付け、鼓舞するものとして、かなりの尊敬をもって見ていました。

しかし、訳がわかるようになると、この社是は「相手を支配せよ」というメッセージだと気づいてきます。顧客を支配せよ、取引先を支配せよ、意思決定者を支配せよ。そういう内容です。

ここに明示的に現れる「支配する欲求」。これが「イスラエルの神に反するもの」=サタンです。

○アダムに命じられた支配はどんなものだったのか

聖書の文脈に立つと、そもそも、天地万物は、アブラハムに現れた神である「神である主」「私はある」「アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神」。この神がお造りになったものです。D社の背後にいる霊的な主体が造った世界ではないです。

天地万物はそもそもが、聖書で天地創造をなさったと書かれている神がお造りになったものであり、その神のものなのです。

その神が、最初の人間アダムを造り、土から造ったアダムに神の息を吹き込んで、人は生きるものとなりました。

そして神は、アダムに対して、「地を従えよ」と、「地上はお前に任せた」「お前が支配しなさい」と、そもそもが神の持ち物であった地を、人間が支配するように命じられました。

人間は、創造主である神から、地を支配するように命じられていたのです。

この「支配」が何を意味するか、よくよく考えることが重要です。
なぜ、創造主であられる神が、人間に、地を支配することを命じられたのか?

創造主であられる神は、人間を、神に似せて、神の形にお造りになりました。
これは、神と同様に、口から出る言葉によって創造行為をなしていくという意味だと解釈できます。

人間に与えられた領域エデンを、天地創造の場面で記されているように、口から出る言葉によって、豊かなものにしていく。神の栄光が現れるものにしていく。それができる存在なのです。

地については、神と同じように、人間が創造していくことができるのです。
それを創生と同じように、口から出る言葉(これが福音書で主イエス・キリストがおっしゃった神の言葉です)によって、地を支配していく。そうして、被造物と仲良く繁栄し、自分自身も子供を産み、孫が生まれ、子々孫々繁栄していく。そのようにして地を支配する。それを行いなさいと、創造主であられる神はアダムに命じたのです。

○蛇であるサタンがアダムから地の支配権をだまし取った

これを嫉妬したのが蛇として登場するサタンです。サタンのヘブライ語原義は「(神に)反対するもの」。サタンが行うことは、創造主であられる神の真逆です。
創造に対しては破壊を。繁栄に対しては恐怖を。支配に対しては暴虐による隷属を。

神の言葉が一方にあれば、サタンはその神の言葉の真逆をやります。

そのようにしてまずエバをだまし、アダムに罪を犯させ、アダムとエバはエデンから追放されてしまいました。

この時、アダムに与えられた地を支配する権威は、サタンにだまし取られてしまいました。
それ以来、サタンが地の上を支配する状況が現れています。

つづく