HUNTER×HUNTER No.397 感想-2 | ばんぶーのブログ

HUNTER×HUNTER No.397 感想-2

397-1の続き。

恐らく容量的に入らないであろうことと、私が好きな能力系で通常の記事とは毛色が違う感じになりそうだったので分けました。

■エンバーミングの能力について

今回、少女の遺体をまるで眠っている様な綺麗な状態まで戻したエンバーマーのレンコは念能力者だった様だ。

 

そして今回の遺体の様子では、

前話の印象が強くて毛量が異様に少ない様に感じ、顔に火傷痕の様なものが見えたことから一部焼かれていたか、エンバーミング系の能力の性質かとも感じた。

しかし、そもそもエンバーミングは衛生上の目的も当然あるが、基本的には死者のため残された者達のために行われるもので、私は取り分け後者が主たる目的だと考えている。

 

親しい人が亡くなった際、それを受け入れるには多大な時間を要する。

それも死因が病気ではなく、事故や殺人―それも遺体が凄惨な状態の場合で、その姿をそのまま見てしまったら遺された者は死ぬ迄その時の姿が頭から離れないという。

しかし、エンバーミングによって遺体の状態がより生前の状態に近づくことで、“苦しまずに死んだ”様に見えることは、犯人逮捕や処罰とはまた別のところで唯一の救いになりうる可能性を秘めている様に感じている。

 

しかしながら、もしこのエンバーミングの能力が「遺体の一部を消費する」ことが制約と誓約になっていて何を消費するか選べないのであればそれは3流以下、むしろエンバーミングの意味がほぼないとさえ私は思う。

特に死者が女性の場合、髪の毛はその人の生前のイメージに密着に結びついているため、不自然に髪の量が減っていた場合―事実如何に関わらず―遺された者達はその理由を考えてしまうだろう。

 

そのため、髪が少なくなった様に見えるがそれは能力による影響ではないと思われた。

初登場時の毛量を思えば特段少ない訳でもないのかもしれない。

 (前回のシーンは、振り返った際に空気を巻き込んで大きくなっただけ?)

 

―さて、それでは念としてその内容を考えてみる。

まず、そもそもだがクロロ達が押収した様々な証拠品(多くの血痕が残った刃物類)や、リゾル神父の“あの状態からここまで復元出来たのは正に奇跡です”という発言から恐らく遺体の損傷状態はかなり激しい様に思われる。

 

さてそれでは、どのような能力ならば一見生前の状態と変わらない状態まで修復可能なのかどの念系統ならば可能なのだろうか

個人的には「強化系(+放出)「特質系」の印象。

 

〇:強化系+放出系

「肉体の回復・治療」というと、強化系の「自己治癒力の強化」を思い浮かべるが、死者に自己治癒力があるのかどうか、というそもそもの問題もある。

ただ「人」としての生命活動は行っていなくても、多細胞生物である人間の体はまだ完全には死んでいない可能性がある。

 

―強いて言うなら「人」としては死んでいて「生命エネルギー=オーラ」がないため(死者の念除く)、強化系だけでは実現せず、「オーラの譲与(=放出系)」「自己治癒力の強化」ならば可能かもしれない。

 

?:変形・変身系の能力でも可能

作中で、変形や変身の様な能力が複数系統で可能であろうことが示されているが、その手の能力でも可能なのだろうか。

イルミの「針を使った変身」は、“針なし…4・5時間で元に戻る”という性質が「針」という愛用品なしのため威力・精度が落ちている状況と採れ、想像されるイルミの念系統から操作系の発で良いだろう。

どのような仕組みでそれを成しているのかは明確ではないものの「ルールの創出とその強制」操作系の核心であろうことから「針を刺した相手の体細胞に強制的に働きかけている」という感じかと思われる。

 

次にユピーの変形の様な能力だ。

ユピーの変形は明確に念によるものだと作中で示されているが、ユピーの使った能力が「オ〇ニービックバン(仮)」と「サイコガン(仮)」という強化・放出と思われる発であったことから、六性図の並び的に「変化系」である可能性がある。

 

変化系の核心部分は「性質の付加」かと思われるが、水見式の様子から変化系も物体に作用しうることが示されている。

(→参照:水見式について ※ちなみに当ブログでは形状変化は変化系能力ではないと採っている。)

つまり、肉体にオーラの性質を付加すれば形状変化が可能となり、それを骨や筋肉、細胞レベルで働きかければ「変形・変身」の能力も可能なのかもしれない。

 

続いて具現化系

「大和撫子七変化(ライダーズハイ)の様に物体を元に具現化するタイプの能力も今回のエンバーミングは可能なのではなかろうか。

 

クラピカの具現化系の修行の説明の影響で、

具現化系能力は“イメージ修行が大変”=容易に具現できないというイメージがあるかもしれないが、クラピカ自身が旅団員の遺体が偽装されたものだと知った際には、

具現化系の能力者なら可能”だと話していた。

あの時、クロロ・シャル・シズク・フェイタン・マチ・フランクリンという6名の遺体があったが、鎖の様な単純な構造の物体の具現でさえも相当大変そうであったのに、人間のように複雑で、かつ目に見えない部分(臓器等)も含めて具現するにあたり、具現化の修行方法が“クラピカが実際に行ったものしかない”のであれば、およそ現実的ではないと思われる。

タフディーの「幽体離脱(ザタッチ)や、ハンゾーの「分身の術(ハンゾースキル4)の能力の服装が“固定(あの黒スーツを着た分身しか作れない)ならば非常に使い勝手の悪い能力になってしまうことからも、クラピカが示した具現の修行方法以外があると考える方が妥当かと思われる。

 

では、他の方法があるにも関わらず何故クラピカはあの方法を採ったのか。

ある程度の妥当性があると思われる理由が2つ挙げられる。

 

1つ目の理由が、当時のクラピカの具現化系のレベルが低かったため。

念を覚えたてのクラピカが、いくら自系統とは言え最初から具現化系Lvが高い訳もなく、一定の条件を満たせば比較的容易に具現出来る具現化系能力はまだ使えず、その一方でクラピカが早く修行を終えて蜘蛛を追いたいため、最も大変だがLvが低くても可能な修行方法を採ったというのはありえる様に思われる。

 

そしてもう1つの理由が、クラピカの鎖はオーラで操縦が必要な“物体”であり、クラピカの採った修行方法は操作系の威力・精度も上昇しやすくなるため。

操作系能力は“特に物体操作の場合、「使い込んだモノ(=愛用品)」でないと威力・精度が上昇しないことが多い”と言われており、クラピカの選んだ具現化物は性質上、操作系能力(=物体操作)も併用する必要がある。

仮に理由1の容易な具現が具現化Lvが低くても可能だったとしても「苦労して時間を掛けて具現化したもの」と「比較的苦もなく具現化したもの」では前者の方に術者が愛着を持つ可能性が高く、その感情は具現化物能力にもプラスに働きうる。

つまり、イズナビが「時間は掛かり大変だが、より強い具現化物を生む可能性もあり、実際の使用時には操作系の威力・精度も上げうる修行方法」を教え、クラピカがそれを実践した可能性もあろう。

 

ついでに3つ目の理由を出すと「容易に具現した具現物」は“参照”した物体の性質を引き継いでしまうのかもしれない。

例えば「鉄の鎖」を参照して容易に具現した場合、固さ・重さ・各性質(通電率や溶解温度…etc)を引き継いでしまい、それを変更する事に余計なオーラを使う必要があるかもしれない(=使用メモリの無駄な増大)

対して、0からの具現は仮にイメージの元にあった鎖が鉄製であったとしても、術者の知識の過不足が反映され、例えば原始人の様なキャラクターが1度見かけた「鉄の鎖」を0から具現した場合、イメージが膨らんだ結果として異常に硬かったり電気を通さなかったりと、容易な具現とは違う結果が現れるのかもしれない。

 

さて話を戻すが操作系能力が、

“対象を自らの眼で直接見る事”、“触ること”など発動条件としているケースがあり(クラピカ、パーム等)

ムッセの「裏窓の鳥(シークレットウィンドウ)が、対象に“触れる”ことを発動条件にしていることや、諜報活動において対象に触れるというある程度の難易度をもつ条件を満たすと、より強い効果を生むというは念能力の原則でもある。

そのため、特に遺体の様に非常に複雑なものを複数具現化可能だと考えているのも、一定の条件が伴うことで比較的容易に具現出来る方法があるということかと思われる。

 

よって、具現化能力でも生前の姿を知っていたり、直接見たことがあったり、写真や映像があったりすれば、一定の条件の下でなら遺体を元の状態に具現することも可能なのかもしれない。

 

最後に特質系

特質系能力の核心は「願望の現実化」かと思われるが、

自らの願望に相手を巻き込む様な能力、作中で言えばザザンの「審美的転生注射(クイーンショット)の様な能力であれば、魂の情報、あるいは遺体に残った情報を流用すれば―術者が死者の生前の姿を全く知らなくても―損傷の激しい死体であってもまるで眠っているかの様な綺麗な状態に戻すことも出来るのかもしれない。

 

つまり、放出系単独を除いて複数の系統で可能な能力の様に思われるのだが、一方で恐らくAOP型の発維持が必要な発は除外される様に思われる。

基本的に念とは体外に出しているオーラでもって為され、モラウやレイザーを例に体から離れているオーラであっても一度に使えるオーラ(AOP=メモリ)に含まれるが、AOP型の発は術者の気絶や死亡によって解除されてしまう(死者の念除く)

 

しかし、術者が気絶しても維持できる能力の一類型が示されており、

それを当ブログではEOP型(放出系)の能力と呼んでいる。

(→参照:メモリについてEOP(当ブログの解釈上の造語)や放出系について)

 

今回のエンバーミングの能力だが、葬送の方法によって大きく変わると思われる。

もし、火葬されるならばAOP型の能力であっても、能力使用中は使用できるオーラがその分制限されるものの、あくまでそれを維持するのは火葬までであるため、さほど問題は起きづらいだろう。

 

しかし、流星街の葬送が何かは不明である。

(棺が結構がっしりしているため火葬ではなく土葬の可能性もあるかと考えている)

 

もし、土葬だった場合、エンバーミングの目的の1つである「死者自身のため」が果たされないかと思われる。

宗教的な理由(ex.最後の審判の日に故人の魂は肉体に戻り復活する)成仏して貰う為(少しでもきれいな姿に戻すことで怨念を和らげ成仏するまでの時間を少しでも短くしてあげたい)等など、様々な理由が考えられるが、その目的を果たそうとするとAOP型の発の場合、術者は死ぬまでそのオーラを割かれ続けてしまうし、心身の状態が非常に不安定な状態に陥ったりすれば発の維持が出来ないなんてこともあろう。

 

もちろん、今回登場したレンコというエンバーマーが、どこぞやのア〇コー延命財団の様に未来の技術で蘇生する目的で「全身を冷凍保存する」と契約をしながら、全身ではなく頭部を切断し頭部のみを保存していたというような輩なら、納棺が終わった時点で金だけ貰って能力解除なんていうこともあるだろうが、恐らく状況的に金銭の授受はなく、レンコは善意や自らの後悔やそれに基づく使命でやっているのかと思われる。

 

つまりエンバーミングの性質上、発に用いたオーラはAOPから切り離す必要があり、それには放出系の力が必要となろう。

しかしもっと言ってしまえば―腐敗などは薬品などを併用すればいいが―変身・変形の能力はそれを維持する必要があり、対象が生者ならば「寄生型」など維持オーラの節約の術はあろうが、いずれ分け与えた電池の様なオーラも使い果たしてしまえばその変身・変形は解けてしまうから、恐らく「操作具現変化」の3系統は厳しい様に個人的には感じられた。

ただ、特質系の場合は「現実化」とは「現実の書き換え」の様なものなのか、自らの願望に相手を巻き込んだ場合、相手は「不可逆」の様に思われる。

(ザザンの操作は解けているため、死者の念として残っている訳ではない。また不可逆とは言え、新たに特質系の能力で書き換えることは可能かと思われるが、特質系の能力は想定外の返しを抱えるリスクもあり、本当の意味で元に戻る様なことが可能かは不明)

 

以上のことから、レンコのエンバーミングの能力は放出(オーラの譲与)強化(自然治癒力の強化)特質(遺体の情報を流用し生前の姿を現実化)かと思われた。

 

■ついでにマチとシズクの能力について

たぶん、まだ容量あるからついでに。

マチの能力は念のお師匠さん(?)であるレンコさんの影響っぽいですな。

ヒソカの時にしようとしていた“顔もキレイにしといてやるよ”というのも、まんまエンバーミングですし。

 

そして、マチがヒソカにブチ切れている理由は「無様に拘束され、暫くの間脱出できないことで仲間への警告が遅れ、仲間の死を招いたため」かと思っていたが、「自分のエンバーミングがヒソカに利用されたから」っていうのもあるかもしれませんね。

 

ヒソカは心臓マッサージを、“いつ”発動するか決める必要があった。

当然死んだ直後に発動しても意味がなく、周囲に敵が残っている状況でもまずい。

“優しい”マチが、事前に依頼していたこともあり(恐らく断られている)、自分が負けた時にはエンバーミングをするであろうことを予測していたのではなかろうか(恐らくヒソカが旅団に居た時にマチがやっていたのを見ているのだと思われる)

マチは過去を思い出してしまい“弱い自分を他人を見られないため”にか、エンバーミング中は周りに人を置かないと知っていたからこそ、ヒソカは発動のタイミングをマチが念糸縫合を使う時=マチのオーラが自身の体に触れた時に設定できたのかと思われる(=停止条件付の死後発動する念)

 

マチも左手でヒソカの首を持ち上げた瞬間にヒソカのオーラが湧き出したことから、ヒソカに利用されたことには気づいているでしょうしね…。

 

続いてシズクの能力について。

こちらは非常にあっさりしているが、

「何で掃除機なんて具現化しようと思ったの?」と長年思っていたのだが、カタヅケンジャーの影響だったんでしょうなぁ。

(シズクは初期旅団員ではないものの流星街出身者)

 

そして、吸い込み口が怪物染みているのも、「旅団員になること=悪党として生きること」であり、カタヅケンジャーに登場した落書き怪人グラフィーノの様な要素がカタヅケンジャーに加わって「闇に堕ちたカタヅケンジャー」というイメージなのかもしれないですね。

 

また、流星街出身の初期旅団員には本来家名などないハズだが、

0:クロロ=ルシルフル

1:ノブナガ=ハザマ

2:フェイタン=ポートオ

3:マチ=コマネチ

4:(少なくともヒソカの前は男)

5:フィンクス=マグカブ

6:シャルナーク=リュウセイ

7:フランクリン=ボルドー

8:(シズク=ムラサキの1つ前はシルバが評価した相手)

9:パクノダ

10:(不明)

11:ウヴォーギン

12:(不明)

明らかになっていない者もいるが、皆何かしらの家名を持っている様だ。

 

恐らく基本的には各々が好きな家名を付けたのだろう。

流星街に人生を捧げる覚悟の表れなのか、シャルナークの家名はリュウセイ。

フランクリンとシズクは色の様だが、恐らくカタヅケンジャーのカラーに由来していて、シズクは自分の最も好きなキャラ(もしくは演じていたのがパープル?)、フランクリンは人生の色づき始めたきっかけを刻んだのかもしれないと思うとそれぞれの性格が良く出ている様に感じる。

マチは…ひょっとするとお師匠さんの家名なのかなぁとも感じるが不明。

 

 

―と今週はそんな感じでしょうか。

今回は定時ギリギリの完成になったため、推敲も大して出来ていないためいつも以上に誤字・脱字が多めかもしれません。

ごめんね、ごめんねー。

 

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