10年め | 笹井恵里子のブログ

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執筆は苦手、でも企画立案と取材が大好きなジャーナリストです。

 この仕事をはじめて、この4月で「10年め」に突入します。まるでずっとこの仕事をしているような顔をしてきましたが、私がサンデー毎日に拾ってもらったのは2015年4月、36歳の時でした。出版の仕事がしたくて、34歳頃から他の仕事をしつつ就職活動をしていたんです。1か月に5、6社は応募し、落ちまくること1年半。なので軽く50社から「お祈り」のメールやら手紙をいただきました…笑 ほぼ未経験で学歴も何もない30代半ばなのですから当たり前です。

 それでも2社くらい採用してくださったところがあったのですが、どちらも編集の仕事だったので迷っていました。私は編集ではなく、「取材」と「執筆」の仕事がしたかったのです。

 そんな時、サンデー毎日で面接してもらい、ここで働きたい! とすごく思いました。仕事内容を聞き、自分がイメージしている仕事にぴったりだったからです。でも、やっぱりサンデー毎日も不採用。もう採用をいただいた企業の編集の仕事をするしかないのかな…と諦めていたら、不採用から数日後、当時のサンデー毎日の編集長からお電話をいただきました。「フリーで少し書いてみない?」と。

 そして2015年サンデー毎日のGW合併号で初めての記事を出しました。

 精神科の指定医の不正問題。ドキドキしながら待合室で患者さんの聞き込み取材をし、専門家にうかがい、病院側にも質問をぶつけて書きました。懐かしい… 

 その後も毎週企画を提案して書いていたら、同年7月から業務委託記者(専属の記者で固定給)となりました。2017年5月頃から、(当時のサンデー毎日の編集長に許可をもらって)週刊文春でも記事を書くようになり、2018年1月から正真正銘のフリーランスに。

 もし仕事がなくなったら編集部で雑用のバイトとか、保育園で給食を作る仕事をしようと思っていたのですが、今日まで途切れなくお仕事をいただき、連載があり、本も11冊出版でき、忙しくも充実した9年間でした。

 ただ、いつも今の仕事しか頭になく、先日大ベテランの編集者の方から「10年めということですが、今後どういった方向性の書き手を目指していますか」と尋ねられ、何も言えず……「いや特に全く考えていないです」と…

 でも心がけているのは三つです。ひとつは、やっぱりミスをしないこと。どんなに長年編集部と信頼を築いても、活字でミスをしてしまったら、その一度の失敗で信頼は揺らいでしまう。もう一つは、決めつけないこと。これは今、一緒に仕事をしている方々の姿勢から学んだことですが、経験を積んでくると、このテーマは難しいとか、あの取材先はこういう話しかないとか決めつけがちなので、意識して経験則で決めつけない。三つめは、今の仕事を「続ける」ことにこだわらないこと。

 楽しいから、書きたいことがあるから、この仕事をしている。その姿勢を忘れずにいたいです。