前回、『金田一少年の事件簿』の「動機」について
云いたいように云いっぱなしにしましたが(笑)。
犯人(ホシ)はすぐそばにいる | JIROのブログ (ameblo.jp)
当時の『少年マガジン』編集長だった五十嵐氏に
(赤塚不二夫さん全盛期の担当編集者で、
『天才バカボン』に「バカラシ記者」としてかつて登場した方)
かつて『マガジン』で漫画になっていた『八つ墓村』のように
「人間ドラマとしてもすぐれていて、
本格推理としても楽しめる漫画を
是非読んでみたい」と企画し、
五十嵐氏を共感させ、なおかつ懸念がありつつも
「とにかく、ここから一歩進めてみよう」という決断を引き出した
K林さんの信条からか、打算的な動機で犯行に及んだ
人物に対しては金田一一ないし明智警視から
辛辣なひとことを浴びせられることが多い。(特に短編で)
「人の命を救う医者に、人を殺してまでなりたかったのかよ?」
「何も知らない少年に罪を着せたのはあなた自身の弱さですよ?」
「こんな言葉を知っていますか?悪魔は芸術を解さない。」
もしくは「1/2の殺人者」「妖刀毒蜂殺人事件」など
「悪戯な運命」によるしっぺ返しがくるか。
ついでに云っておくと、金田一も明智警視も
「勿体ぶる」「罠を仕掛けるのに長けている」
「周囲の人間を置いてけぼりにして2人だけ共鳴する」
など悪い癖がありますが、
「名探偵」というものは性格が悪いのが通例です。
ブラウン神父しかり、ギデオン・フェル博士しかり、
思考機械ヴァン・ドゥーゼン教授しかり。
だからこそコナン・ドイルは
シャーロック・ホームズの相棒として
ジョン・H・ワトスン医師を創作し
(ワトスンについての思い入れはまたいずれ)、
御手洗潔と石岡君、明智小五郎と小林少年、
エラリー・クイーンとリチャード・クイーン警視、
十津川警部と亀井刑事、その他……。
で、金田一の場合は美雪ちゃんと剣持勇警部。
以前の記事で、アニメ版主要人物を演じた
声優さんたちの鼎談を引用しましたが、
血塗る心理ゾーン | JIROのブログ (ameblo.jp)
「【中川亜紀子さん】『金田一』でいちばんの人格者は
剣持警部だと思いますよ。だって、あの年齢で、
高校生に「オッサン」と呼ばせるなんて、普通はできないですよ」
「【松野太紀さん】でも、ハジメは「オッサン」と呼んでるからって、
べつに馬鹿にしてるわけじゃないんですよ。
ある意味ですごく尊敬しているし、頼りにもしているんです。」
(『金田一少年の事件簿 公式ガイドブックファイナル ラストエピソード』
講談社、2001年、143頁)
さとうふみやさんも、明智警視と剣持警部だと明智サンの方が好きなんだけど、
剣持のオッサンがパワーで「おりゃ~」と活躍するところを描きたい、って何かで
云っていた記憶がある。
実際、ノベルス『電脳山荘殺人事件』や『殺戮のディープブルー』などの
作品で剣持警部が身体を張って一や美雪を守る描写がありますが、
あの辺が凄く好きなんだなぁ。
で、小杉十郎太さんも剣持警部が好きで、
「俺もカッコよく『謎はすべて解けた!!』って言ってみたい」とよくこぼしていて、
「剣持警部の事件簿」をつくってくれないか、
とスタッフさんに談判していたそうなのですが、
「【松野さん】『剣持警部の家計簿』のほうが実現が早い、とか言って、
大笑いしましたよね(笑)。」
おあとがよろしいようで。