01だけの無情なメッセンジャー | JIROのブログ

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「話しの中身がどうなれこうなれ気持ちも知らずに」だべっていくと思いますが、他人様を傷つけることのないようにしていきたいと存じます。

『野武士のグルメ』などの作品をNetflixで視聴しているうち、

 

手塚治虫さんの『鉄腕アトム』「地上最大のロボット」を原案とした

 

浦沢直樹さんの『PLUTO』を拝見しましたが、

 

戦闘描写が半端ではなくカッコいいですね。

 

 

以前の記事で『ビッグコミックオリジナル』について言及しておりますが、

沁む煙草の煙 | JIROのブログ (ameblo.jp)

 

浦沢さんのこの連載をずっと楽しみにしておりました。

 

で、手塚さんによる「地上最大のロボット」版の

 

プルートウがまたいいキャラクターなんですね、これがまた。

 

 

アタシの大好きな悪役として、

石ノ森章太郎先生が創造したサブロー・ハカイダーがいますが、

 

彼の顔にプルートウ同様の稲妻模様が描かれているのは、

石ノ森先生が手塚さんへの敬意を示したのかしら?

 

 

なお、「萬画家」さん皆様方のうち、アタクシが

「先生」の敬称を用いるのは、

 

尊敬し申し上げている石ノ森先生と

やなせたかし先生のおふたりだけであることを

お断りさせていただきます。

 

かつて、何かの随筆でやなせ先生が

「手塚治虫」と記載したところ、

 

熱烈な愛好者から苦情の意見が寄せられた、とか。

 

『アンパンマン伝説』(フレーベル館、1997)に

隣同士で並んでいる写真もあるし

「天才」ともつけているし、別にいいと思うのだが……。

 

 

閑話休題。

(この四字熟語には相当、お世話になっているなぁ……)

 

圧政への報いとして決起されたことで、

亡国の王となった「チョチ・チョチ・アババ三世」(以下「サルタン」)が

 

反乱軍を壊滅させて再び王位に返り咲くべく

湯水のごとき開発資金を

「アブーラ博士」に与えて製造させたロボットこそ

 

すなわちプルートウなのですが、

そのずば抜けた戦闘能力がサルタンの誇大妄想を

更に助長させてしまい、

 

「世界でいちばん強い七人のロボット」たちを

打破する任務を与えられたことにより、

 

プルートウは誤ったその目的を遂行するために

世界各国の強豪と決闘を挑むことになるのです。

 

 

『PLUTO』でも彼の悲劇性は強調されておりますが、

 

「地上最大のロボット」でのプルートウは

「ロボット三原則」を遵守して常に行動する

ふうに描写されております。

 

第2条「人間に与えられた命令に服従しなくてはならない」ため

標的以外のロボット(アトムになりすましたウランなど)とは

闘おうとせず、

 

第1条「人間に危害を与えてはならない」ため

彼とアトムの間にお茶の水博士が介入してきたときは

「仕方がない、一旦引き上げましょう」と潔く身を引き、

 

第3条「自己を守らなければならない」ため

重傷を負ったときには標的であるはずのアトムに

アブーラ博士を呼ぶスイッチを押すよう丁重に頼み、

 

そして決闘を前提として設計されているためか、

アトムに一度助けられた恩義として

とどめを刺すことを途絶させる、など義理堅い

「仮想人格」を与えられているため、

 

本来であれば相当の葛藤に苛まれることでしょう。

 

 

プルートウはこう述懐しております。

 

「好きとかきらいとかいう

気持ちはおれにはないよ

おれはただいわれた通り

勝負しているだけなんだ」

 

「おれが爆発しても

この阿蘇山の頂上なら

人間にはけっして

迷惑はかからない」

 

 

つまるところ、彼自身が自分の内面にあるはずの

感情を表には決して出さないことが、

プルートウをより不憫に思わせることになるわけでございます。

 

「あなたはかわいそうなロボットよ

そうやってこわれるまで戦ってるの?」

 

ウランが終盤でプルートウを気遣うこの科白が、

彼の心にはどう届いたのでしょうか……?