本当ならオリンピックの熱狂が冷めて、しばらく放心状態の秋を味わうはずだった2020年は、全く異なる展開を我々に見せつけた。いつおさまるかも知らないコロナ禍が日本だけでなく世界を席巻していたのである。

普段の生活スタイルも変わってしまった。ニューノーマルなどとオシャレに言い表されているが、内実は我慢の連続である。友人との会食も仕事での打ち上げも、夫婦での外食もすべて控えている。どうやらこの感染症は酒飲みに厳しい。マスクを外して、飯を食ったり酒を飲んだり、馬鹿話をすることが最もよくないらしい。一体何を楽しみに生きれば良いのだ。それでいて仕事はちゃんとやれと言うのだからやってられない。

 

やってられない日常だが遠くには希望もある。のだと願いたい

 

ワンコ達と過ごす週末だけが唯一のガス抜きであった。有り余るパワーを持つうちのワンズを自然に解き放ち、クタクタになるまで走らせるのが飼い主の使命であり、喜びでもある。とはいえ、そういった我が家の事情を押し通すために非流行地にコロナをもたらせてはいけない。GO TOなどという訳の分からない振興策のせいで観光地はにわかに活気づいている。そんな渦中に身を投じて、コロナ濃度を高めるわけにいかない。山にはいくが、人の多いところは避ける。土産物屋などには立ち寄らない。いつも行く日帰り温泉も中止する。こうやって感染流行地に住まう我々はコロナを地方に撒き散らさず、でも人間と犬の喜びは最大限追求することにした。

何度も紹介してますが,親子です。左父ラッフェ 右息子ルーエ

 

キャンピングトレーラーがなければ,コロナ禍の旅など無理だっただろう

 

頂上に着くとなぜか犬もはしゃぐ。ゴロンとして,背中をスリスリする。レーベンとルーエのダブルごろん

 

初めての場所だとどうしてもウロウロしてしまいがちなので、これまで何度も通ってるフェイバリットスポットに狙いを定めて出撃した。どこに行っても春先と比べて人の出が多い。でも土地勘があるので、どこに車を停めて、何時頃活動すれば人が少ないなどが予測できる。まだ空けやらぬ早朝の山を我々だけが独占している。これもキャンピングカーで前泊しているからできる。人も犬も誰もいない山の中を縦横無尽に駆け巡るのは愉快としか言いようがない。ごく稀に人に出会うのだが、こういう状況で出くわす方々は大抵同じ趣味嗜好性をもっているので、鷹揚であり理解がある。人間性を回復するには早朝の山に登るのが良い。

 

光が差す。神々しい風景

 

今年の秋は暖かく,晴天の日が多かった

 

紅葉も満喫できた

 

かと思うと山の上は冬の気候。木々に水滴がついて樹氷となる。それが光に照らされるとまるで桜の満開のようにみえた

 

 秋のトレッキングシーズンは結果的に大満足なものになった。日常生活はマスクと手洗いの窮屈なものになってしまったが、人間の精神まで貧困になってはいけない。ちゃんと出かける時は出かけて、遊ぶ時は遊ぶ。求められているのは、困難な時代を生き抜くためのリスクマネジメント能力ではないだろうか。

 

この笑顔があれば大丈夫

 

 GO TOなのか?stay home なのか?相反するコマンドをかけられたら犬なら困惑するだろう。我々は迷わずGOを選んだ。出発前には体温が4日間37.5℃以下であることと味覚も嗅覚も失われていないことを確認して万全を期した。
半年ぶりのキャンピングカー旅である。準備に手間取りながらも無事目的地である仁淀川に到着した。これからこころの業を洗い流すのだ!
 
 旅の初日に8歳の誕生日を迎えたラッフェ。使い古しの王冠でむりからに盛り上げた。
 仁淀川に着いてからは順風満帆とはいかなかった。河原ではトレーラーがスタック。脱出に四苦八苦しているともう一台乗り込んできたスバル車もスタック。あまりスタックに慣れていないご夫婦だったので早くレスキューしたかったのだが、自分のこともままならないのに、他人のことに構っていられない。ようやく脱出完了してから、取って返してスバル車のレスキュー。これは秒で終えられた。その間河原はゴカゾクヅレのキャンパーで混み合って来た。もうこんな場所で宿泊する気になれずに一度広げたキャンプ道具を再度詰め込んで脱出。と思ったら途中の電信柱を支えるワイヤーに引っかけて、サイドオーニングがズタズタに引き裂かれてしまった。目眩と軽い吐気を催しながらも自分を鼓舞し、走行できるように簡単な修理を施し、次のキャンプ候補地へと移動した。料理を作る気にもならず、小さな商店で弁当を買って食べたのだが、そこで妻のクレジットカードを落として来てしまった。もう今日は何も考えられない。密度の濃い仁淀川の初日だった。
 
 今回川下りを4頭の犬で決行する予定だったが初日のトラブルで精も根も果ててしまい,結局河原でちゃぷちゃぷサップ遊びに変更となった。なんともだらしない限りなのだが、出鼻をくじかれるとやる気を失ってしまう。
 
 だけれども犬達はそんなことはまったく分からず、広い河原と澄んだ川の水に大興奮である。これくらいの水温の方がかえって気持ちが良いらしい。じつは今年の7月から長男フライハイトの身体に異変が生じていた。最初は元気がなく、遊びを途中でやめてしまう程度であったが、ある日を境に目が見えなくなったきた。大好きなボール遊びでもボールを見失ってしまう。目の前で指を動かしても反応がない。走り出したとたんに障害物にぶつかって怪我をしてしまい、本人も唖然としていた。こんな状態の中、久々のアウトドア旅に出たのでフライハイトのことが気になって仕方がなかった。
 
  河原の石ころにつまずいて転ぶのではないか?
  水になど入らず怯えてしまうのではないか?
  我々との旅をキライになってしまうのではないか?
 
 結局どれも杞憂だった。いつものマイペースでおもちゃ好きで元気いっぱいなフライハイトのままだった。大部分が見えていないにもかかわらず、ひょいひょいと障害物をかわしつつ、ままが鈴をつけたおもちゃを元気よく追いかけ、さらには流れのある川でも立派に泳いでいた。さすが世界大会にも出たスポーツドッグ、驚異的な適応能力である。
 他の3頭は予想通り走り回り、泳ぎまくり、吠え倒した。末っ子ルーエなどは我慢が出来ずに夜の川に泳ぎに入り、呼んでも呼んでも帰ってこなかった。真っ暗な川面にLEDの首輪とライトに反射する目の玉だけが光っていた。彼はこの度でようやく反抗期をむかえたようだ。久々の川旅は我々に自然の厳しさと犬と生活する悲喜こもごもを教えてくれた。

 

 

 
 旅に出かける時にはまず目的地を決めないといけないが、以前は登る山、下る川を決めて、宿泊地は現地についてから適当に探していた。そのあたりがキャンピングカーの自由なところであり、時間に余裕のあるときには「岐阜のどこか」とか「四国方面」などかなりアバウトに目的地を設定していた。
 キャンピングトレーラーに乗り換えてからはそのような行き当たりばったりの旅は難しくなった。巨大な住居を引っ張っていくので、あまりに狭い道路などには入り込めない。さらに切り離して放置するので、置いてても差し支えない施設が必要になる。車ならただの長時間駐車で済むが、トレーラーは不法占拠になってしまうのだ。
 そういった悩みを解消してくれるのが全国に増えているRVパークである。キャンピングカーの受け入れに特化した施設であり、公園の一角や旅館の駐車場、キャンプ場の一区画などを利用している。電気や水道、24時間トイレなども利用できる。最近は目的地を探すときにまずRVパークを探して、そこから登る山を決めている。今回もそのような塩梅で三重県の経ケ峰登山の旅に出かけた。
 宿泊したのはRVパーク湯元榊原館。三重県津インターチェンジを降りて15分くらいで到着。榊原温泉街の中に位置している。


トレーラーの設置が終わるとまだ温泉が開いていたのでさっそく入浴。かなりヌルヌルの温泉で、体を洗ってても石鹸が洗い流せてないかのような錯覚に陥る。

 留守番をさせられてふてくされる白の犬と黒の犬もいるが、人間よりも先にしっかり晩ご飯はたいらげているのだ。

 さて翌日は榊原温泉から来るまで20分ほどの経ケ峰に出発した。登山口に駐車場はあったのだが、犬たちに舗装路を走らせたくなかったのでもう少し上まで車で登ることにした。いつものごとくちょっと油断したら脱輪・転落しそうな道を進んでいく。


 温かな春の登山でワンズもウキウキしている。寒いのが苦手なフライハイトも今回はご機嫌だ。途中からはワイルドな山道になり、登りにくくなったが、ワンズはさらにテンションを上げている。

 登ったり降りたり。降りてくる時も全力疾走なのでぶつかると痛い。

 ひとり背の低いフライハイトだけが段差の前で助けを求める。でも助けてあげても感謝もせずに行ってしまう。



 頂上に近付くと登山者とたくさん出会った。そういう時は呼び戻してリードを繋いでいる。別に他人に危害は加えないのだが、嫌な人もいるのでマナーとしてそうしている。むしろ山の中では興味を持って近づいてきて頭を撫でてくれたりする人の方が多い。



 頂上は見晴らしも良く、伊勢湾が見渡せた。風が強く寒かったので、簡単にワンズだけの記念撮影をして下山した。

 今年は暖冬だったが、春の気候はどうなるだろうか。あまり気温が上がりすぎると犬連れ登山は難しくなる。人が多くなるのとマダニが動き出すからだ。願わくばもう少しこの子らと登山を楽しみたいものだ。




 コロナウィルスの騒ぎで外出を控える方々多いと聞く。たしかに誰が吐いた息かも分からず空気を共有しなければならない満員電車通勤などお断りしたいいものだ。しかもマスクが品切れと来ている。こんな時こそ2週間くらい有給休暇を取得して、山登りやハイキングなど人のいないところに出かければ良いんじゃないか。どこの旅館も閑古鳥が鳴いており、手厚くもてなされるだろう。

 

 さて雪のない冬。それならは普通に山のトレッキングを楽しめば良い。そこで行き慣れた山に出かけた。事前に雪がないことを確認して、営業中止になっているキャンプ場の駐車場を目指した。ここはもっぱら登山客の駐車場となっている。水は使えないが、駐車場は開放されている。

 

 

 

 

 宿泊地に着くとあいにくの雨。雨は嫌だな。ママは雨を見た瞬間帰宅モードに切り替わっていた。明日には止むよと励まして、宿泊の準備をすすめた。トレーラーを切り離して、水平をとって、固定した。車内では簡単な鍋料理をつくって、簡単に晩飯を終えた。翌日の山登りにそなえて早く寝ることにした。深夜雨は雪へとかわっていた。

 目を覚ますと酷いことになっている。ここまで降るか!と言うくらいに積もっている。山は完全に冬山モードに変身している。これでは通常装備では登れない。目的地を変えることにした。比較的ルートが安全な日名倉山に変更。30分かけて移動した。

 

 この山は山頂近くまで車で行けてしまうお手軽山。普段だと運動靴程度で歩けてしまう。車道は所々凍結してスリップに注意を要する。駐車場はしっかり雪に覆われていた。これはスノーシューの出番だ。

 

 

 振りたてほやほやの雪に犬たちも大興奮である。狭い登山道を駆け下りたり、駆け上がったりするもんだから歩きにくくて仕方がない。人間が追いつくのには時間がかかるのだが、その時間を利用して林の中や崖の下などに散策してくる。人間が追いつくと、戻ってきてまた駆け上がったり、駆け下りたりする。おそらく人間の5倍は運動しているはずである。

 

 山頂までは40分ほどの行程だったのでかなり欲求不満なのだが、天気が良くて見晴らしが良く、新雪を踏みしめて歩けたのは満足だった。

 

 

 

 

寒い冬は足下が冷える。ヒーターでガンガンに暖まるキャンピングカーでも床面は結構寒い。

そこでトレーラーのリビングをこたつ化することにした。

DIYも得意じゃないし、時間もない。だから通販でサイズの近い天板を買って、ホームセンターのこたつ布団をかぶせてみた。セッティングには5分もかからない。


以外とこたつ感は出ているのではないか。
ヒーターの温風をこたつの中に引き込むと足下ポカポカのパラダイスとなった。


早速こたつで堕落する人類もあらわれた。こたつで寝たら風邪引くでェ

せっかくなのでもう少し寒い季節が続いて欲しい



 旅に出て何を食べるかは非常に大切な問題で、どこに泊まって、どこで遊ぶのかと同じくらいに重要である。

 冬の定番はお鍋であるのだが、今年のように微妙に暖かいと別のものも食べたくなる。

  キャンピングカーの車内料理についての一例報告を行いたい。今回は焼魚についてである。

  山登りを終えて素早く空腹を満たすためには調理に時間をかけられない。そこで魚には先に塩を振っておいて、冷凍した状態で旅に持ち込んでいる。そうすると自然解凍によって、夜には焼くだけ素材が用意される。

 さらに先に塩を振っておくと、味わいも深くなって美味しくなる。一石二鳥なのだ。

持ち込んだのはサヨリとタチウオ。塩をして、真空パックにして冷凍しておいた。



車内でも調理のしやすい、カセットガスタイプの魚焼き器を使用した。強火の遠火でふっくら仕上がる。


北海道産のハタハタも美味であった。

 車中泊の旅で魚を食べられるのは贅沢だし、焼いて食べる楽しさもある。これは成功。

 ただし車内は煙で充満。換気扇をいくら回しても追いつかなかった。さらには煙探知機が作動してビービーうるさかった。

 さらに閉口したのは翌日の魚臭さ。言ってみればキャンピングカーはワンルームマンションみたいなものだから、焼魚を調理するとカーテンやベッドに匂いがしみ込んでしまう。

 結論。焼魚は雪が溶け、野外で焼けるシーズンまで我慢すべし。



 記録的な暖冬で全国で雪がない。中学校のスキー合宿が延期になったり、廃業するスキー場が出たりなかなか世の中大変なのだ。我が家も冬はスノートリップに出ることを楽しみにしているのだが、自然を相手にしているのだから上手くいかないこともある。雪がなければ、トレッキングを楽しめば良い。そういう理由で四国徳島にトリップした。
 泊まったのはRVパーク。最近全国に広まっている車中泊専用エリアである。道の駅やサービスエリアで車中泊する連中のマナーの悪さがひんしゅくを買い、キャンピングカーは徐々に嫌われ者になりつつある。そこで車中泊するキャンピングカーを専用に受け入れる施設を作ったのがRVパークである。ここではトイレや電気も使えて、炊事が出来たり,温泉を併設していたりする。
 今回利用したのは美郷の湯という温泉併設のRVパーク。ここは本格的なレストラン「オルガノ」が人気だったのだが、我々が宿泊したときにちょうど終業することになってしまった。
 さてキャンピングトレーラーをRVパークに停車してしまうとあとは天国が待っている。広々としたトレーラー内でくつろいだり、調理したり,犬の背を撫でたり。まるで別荘を手に入れたような贅沢感がある。ところが電波事情が悪いとどうにもならない。旅の夜は次の日の計画を練ったり、SNSに投稿したり結構忙しいのだが、ここで電波問題が大きく立ちふさがる。3Gだと電話をかけることは出来るが、インターネットには接続できない。今の世の中でインターネットに接続できないとほとんどのことが出来なくなってしまう。このRVパークも電波が悪く,結局夜通しで本を読むしかなかった。
 今回の旅はあまり有名ではない地方の低山を登ることをテーマにしていた。宿泊地近くで探していたら,ちょうど40分くらいのところに高越山という山を見つけた。地元の人に愛される登山ルートらしい。県外の人間が犬4頭も連れて登山して大丈夫か心配だったが,とにかく出発した。
 実際出発してみると、道路標識にばっちりと「高越山こちら」と記載があるので、地図を見なくてもいけてしまう。曲がりくねってはいるがいちおう2車線の山道を進んでいった。1時間ほど走ったところで高越山寺の標識が。駐車場もあり、そこから頂上までもいけそうである。山の支度を整えて、いざ出発である。
 

高越寺までは雪まじりながら整備された山道がつづいた

 

 

入り口付近には合掌の看板が。ママがふうちゃんを抱っこして,強引に合掌

 

 

高越寺の急階段。うちの犬は階段をものともしない

 

 

奥の方には本院が控えていた。

 

 高越寺をぬけて山道を進む。高越山のピークを目指すのだ。道は整備されているが、勾配は結構きつい。寺を後にしてからは下りが続いている。いつかは頂上にむけて登り返すのであろうと思うのだが、延々と下っていっている。これはおかしいなと思い、初老の夫人に声をかけたら快く教えてくれた。

 どうやらこの山の登山口をまったく間違えてしまったらしい。登山者は皆、もっと下の方から登ってきているらしい。我々はその過程をすっ飛ばして、車で頂上付近まで来てしまい、そして道に迷ったらしい。そこから延々と登山道を下ってきていたわけだ。山登りではなく、山下りを楽しんでいたわけだ。

 いつまでも下ってられないので、適当な所で切り上げて、ふたたび元来た道を登り返すことになった。山登りの基本は,前半死ぬほど苦しい登り道を歩き、天国である稜線を歩いて、最後は下山することであるが、今回はのっけから下山してしまっていた。

  間の悪いことに足の靴づれが起きたり、左膝を痛めたり。泣きっ面に蜂的バッドイヴェントが次々起きてきて、自身の運の悪さと方向感覚のなさを呪いつつ、急な坂道を息絶え絶えに登ることになった。

 ようやく出発地点に戻った。高越寺のさらに数十メートル進んだところにこの山の頂上がある。そしてそこには高越寺とはことなる高越神社がひっそり佇んでいた。神仏分離前の素朴な民間宗教の名残である。 


 

 頂上付近。誰かは知らない。多分偉い人

 

 日は西に傾いてきた

 

 思ったようにはならなかったが、天気だけは最高に良かった。

 

 遠くは剣山を見渡す景色。


  余談だが、筆者はこの後1ヶ月間膝の負傷で苦しめられた。膝を悪くするなんて爺さんみたいで嫌なのだが、仕方がない。

 雪のない季節のおかげで、普段登ることのないあまり有名でない低山ハイクを楽しんでいる。もちろん犬たちはたいそう満足しているので、それで良いことにしておこう

目的地に着くと、トレーラーと切り離してラン子だけで行動する。買い物や風呂に行ったり、アクティビティのできる場所まで突撃する。あ、ところでラン子とは我が家のJEEP JLラングラーのことね。

 
ママの発想なのだが、なぜか我が家の車は全て女の子の名前がつけられる。しかも語呂を少しだけいじった、べたーなネーミングなのだ。通勤車のスズキ「ハスラー」はハス子。先代までのキャンピングカーはキャプ子。JEEPのラングラーがラン子である。
最初は恥ずかしかったが、もう15年も経つと慣れてきた。
 
さて本題に戻ると、ラン子には4頭の犬も積んでいかないといけないし、荷物もたくさん積み込むことになる。スペースに限りのある中でなかなかやりくりがむずかしい。
 
ラン子は後部座席を撤去しており、フラットな床を敷いている。その上に4つの犬用クレートを設置。そうなるともはや荷物は乗らない。一応ルーフキャリアはつけているが、頻繁に荷物を出し入れするのにはそぐわない。そこでクレートの上にもう一段棚を設けてみた。
 
後側から。幅60cm奥行き150cmのメタルラックを使用した。奥の側では支柱がロールバーに当たってしまうので、7cmほど切り落とした。
 
右側後部ドア。小型なフライハイトのクレート。
 
左側後部ドアは大型のレーベンのクレート設置。ギチギチで全く隙間はない。
 
ついでに4頭の似顔絵でつくったマグネットを後輪フェンダー上に貼り付けた。
 
これで登山靴やリュック、犬用品を積み込む場所が確保できた。お陰で後方の視界は全くなくなったが、それはなんとかる。
次の出撃はいつだろうな。待ち遠しい。

旅も長期化してくるとやるべきことがルーティン化してくる。朝起きて、トイレに行って、ワンコのトイレをさせる。ママがワンコの朝ごはんを支度している間、私がトレーラーの水の補給や雪かきを行う。ママがお化粧している間に人間の朝食を用意する。豆を挽いて、珈琲をたてる。食事は冷凍野菜やサラダチキンなどの簡単なもので済ませる。食後は出発準備をしながら、食器を洗って、片付けていく。ここまでで起きてから1時間半。旅の朝は忙しいのだ。

 
本日の目的地は一夜山。鬼が一夜にして築き上げたと言われる伝説の山だ。
 
 
遠くから見ると三角形の尖った形が目印になる。

 
登山口までは林道が通っているのだが、除雪などはされていない。というのも豪雨災害の復旧が遅れ工事通行止になっている。冬季は工事も止まっており、何台かの車が通った後がある。


 
最初はトレースを追いかけて走っていたのだが、途中で全て旋回して、帰っていった。登山口まで車を走らせているのは我々しかいない。山沿いには側溝がありはまると厄介だ。反対側はガードレールもなく、川に落ちるとこれはたいそう厄介だ。慎重に前に進んでいった。


 
登山口の手前で雪が深くなりそれ以上進むことをあきらめた。車を適当に停めて、登山準備を整えて出発。ワンズは久々のフカフカ雪に大興奮。30分ほど歩いたところで、どうやら登山靴だけでは進めなくなりUターンすることにした。車までもどって、スノーシューを装着して再出発。この山だけなぜか雪が豊富に積もっていた。結局、このUターンで往復60分ほどロスしたのが痛かった。時間ももちろん、結構体力も削られた。
喜びの舞。全身でしあわせ感を表現するラッフェ
 
 
野生動物の足跡。途中の線が不明だが、おそらく鹿ではないだろうか
 
決してフライハイトの足跡ではない
 
 
通行止めの看板も無視してレーベンが突入していった。
 
 
久しぶりの雪山本格山登り。急勾配でバテバテになる

 
三角形の山なので、行きは延々上り坂が続く。途中からは結構な勾配がついていた。犬たちはそんな傾斜はおかまいなしに登ったり、下ったりを繰り返している。結構バテ切ったところで頂上に到着。
ようやく頂上の鳥居が見えてきた
 
けっこう、きつかった。途中何回も引き返しかけた。仕事が忙しすぎて軟弱になってしまった
 
天気が良ければ白馬から北アルプスを一望できるはずなのだが、ガスがかかって全く眺望は得られなかった。先の見えない我々の人生を暗喩しているようだ。
戸隠連峰は遙か霧の彼方
 
当たり前だが、下りは延々下り。抑揚というか、緩急というものが全くない。鬼が一夜で作った山だから仕方がない。
 
下山後はさっさと撤収した。万が一帰り道でアクシデントにあったとしても1時間ほどあればリカバーできるだろう。そうすれば日没前には広い道まで出ることができる。携帯の電波も届かないこんな場所で日が暮れるのだけはごめんだ。
 
犬も人も疲れ切っていた。基地に戻るなり、犬たちは寝息を立てて寝始めた。食事を作るのも辛かったが、最後の夜なので発奮して調理した。信州サーモンのソテーと信州サーモンの温サラダ。信州サーモンはクセも臭みもなく、大変美味しかった。これからはお取り寄せしたい。
仲よくおねんねのフライとレーベン
 
信州サーモンに善光寺の胡麻七味をたっぷり
 
フライパンでソテー
 
外はサクサク、中はふわふわのサーモンソテーの出来上がり
 
サーモンの切り身、ベーコンと温野菜のサラダ
 
寝てたはずの2人が美味しい匂いにつれられてむくっと起き上がった
 
スペインのカバで乾杯
 
食事が終わり、アルコールがまわりはじめるともう目を開けていられなくなった。もったいないのだが、最後の夜も早々に寝袋に吸い込まれていくのであった。
 
今回の旅では冬の信州に来ていることを忘れるほどに気温が高った。ところが旅の6日目に結構強烈な寒波がやってきた。朝起きて、昨晩のコップをゆすごうとしたら、水が出ない。とうとうキャンピングトレーラーの水道システムが凍結してしまった。幸い水道管は破裂していないようなので、このまま昼間に気温が上がれば溶けてくるはずだ。
 
不便を強いられながらも、よく考えたらくるま旅でふんだんにお水を使える方が贅沢なんだよな。と気を取り直して登山準備にかかった。
 
本日の目指す低山は陣場平山だ。長野についてからのリサーチで見つけた山なので、現地がどんなところなのかは全く見当もつかない。

基地から40分くらいで到着。途中からは雪の積もった林道だったが、除雪がなくても進むことのできる程度であった。轍はついているので、走行する車はあるようだ。地蔵峠という広くなったところに車を停めて、出発。最初はよく整地されたトレッキングルートから出発となった。



 雪は積もっているが、浅いので犬は全力で駆け巡ることができて嬉しそうだ。ルーエは家の中では歳の近いレーベンとばかりじゃれあっている。ところが山の中ではなぜかラッフェばかりをターゲットにしてちょっかいを出し続ける。


ラッフェは鬱陶しいだろうがよく我慢している。これが血のつながりというものだろうか。
知らない人のために説明しておくとルーエはれっきとしたラッフェの息子である。ところが当人同士はそのことを全く分かっていない。ギリシャ神話のようだが、別に悲劇ではない。


スッキリとしない天気ではあったが、広葉樹林の中を散歩するのは気持ちが良い。それが我々しかいない山の中ならなおさらである。見上げると、樹木の枝が光って見える。



途中の広場には山小屋のようなものがあり、冬でも使用可能なトイレが設置されていた。

陣場平山頂上付近には古く素朴な神社があった。なにかをお願いするというよりは、無意識に手を合わせてしまう雰囲気であった。


頂上付近は天気が悪く、風も強かった。湿った雪が横殴りに顔を叩く。長居はせずに早々に撤収した。

誰よりも体の小さなフライハイトであるが、うまく轍を捉えてトレッキングを楽しんでいる。


山の斜面の向きによってはほとんど雪の積もっていないエリアもある。落ち葉の絨毯もまた犬は大好きである。


3時間弱の丁度良いくらいのお散歩だった。低山といえども山の上には雪がある。そして人は誰もいなかった。雪山散歩を独り占めできて非常に愉快な気持ちである。


 基地に帰ると気温は2度ほどまで上昇していた。蛇口をひねると水が出た。タンクの水が無事溶けてくれたらしい。屋外に置いておいたビールもよく冷やされて飲み頃だった。自然の厳しさもありがたみも黄金の液体とともに飲み込んでいった。

次に続く