本当ならオリンピックの熱狂が冷めて、しばらく放心状態の秋を味わうはずだった2020年は、全く異なる展開を我々に見せつけた。いつおさまるかも知らないコロナ禍が日本だけでなく世界を席巻していたのである。
普段の生活スタイルも変わってしまった。ニューノーマルなどとオシャレに言い表されているが、内実は我慢の連続である。友人との会食も仕事での打ち上げも、夫婦での外食もすべて控えている。どうやらこの感染症は酒飲みに厳しい。マスクを外して、飯を食ったり酒を飲んだり、馬鹿話をすることが最もよくないらしい。一体何を楽しみに生きれば良いのだ。それでいて仕事はちゃんとやれと言うのだからやってられない。
やってられない日常だが遠くには希望もある。のだと願いたい
ワンコ達と過ごす週末だけが唯一のガス抜きであった。有り余るパワーを持つうちのワンズを自然に解き放ち、クタクタになるまで走らせるのが飼い主の使命であり、喜びでもある。とはいえ、そういった我が家の事情を押し通すために非流行地にコロナをもたらせてはいけない。GO TOなどという訳の分からない振興策のせいで観光地はにわかに活気づいている。そんな渦中に身を投じて、コロナ濃度を高めるわけにいかない。山にはいくが、人の多いところは避ける。土産物屋などには立ち寄らない。いつも行く日帰り温泉も中止する。こうやって感染流行地に住まう我々はコロナを地方に撒き散らさず、でも人間と犬の喜びは最大限追求することにした。
何度も紹介してますが,親子です。左父ラッフェ 右息子ルーエ
キャンピングトレーラーがなければ,コロナ禍の旅など無理だっただろう
頂上に着くとなぜか犬もはしゃぐ。ゴロンとして,背中をスリスリする。レーベンとルーエのダブルごろん
初めての場所だとどうしてもウロウロしてしまいがちなので、これまで何度も通ってるフェイバリットスポットに狙いを定めて出撃した。どこに行っても春先と比べて人の出が多い。でも土地勘があるので、どこに車を停めて、何時頃活動すれば人が少ないなどが予測できる。まだ空けやらぬ早朝の山を我々だけが独占している。これもキャンピングカーで前泊しているからできる。人も犬も誰もいない山の中を縦横無尽に駆け巡るのは愉快としか言いようがない。ごく稀に人に出会うのだが、こういう状況で出くわす方々は大抵同じ趣味嗜好性をもっているので、鷹揚であり理解がある。人間性を回復するには早朝の山に登るのが良い。
光が差す。神々しい風景
今年の秋は暖かく,晴天の日が多かった
紅葉も満喫できた
かと思うと山の上は冬の気候。木々に水滴がついて樹氷となる。それが光に照らされるとまるで桜の満開のようにみえた
秋のトレッキングシーズンは結果的に大満足なものになった。日常生活はマスクと手洗いの窮屈なものになってしまったが、人間の精神まで貧困になってはいけない。ちゃんと出かける時は出かけて、遊ぶ時は遊ぶ。求められているのは、困難な時代を生き抜くためのリスクマネジメント能力ではないだろうか。
この笑顔があれば大丈夫