記録的な暖冬で全国で雪がない。中学校のスキー合宿が延期になったり、廃業するスキー場が出たりなかなか世の中大変なのだ。我が家も冬はスノートリップに出ることを楽しみにしているのだが、自然を相手にしているのだから上手くいかないこともある。雪がなければ、トレッキングを楽しめば良い。そういう理由で四国徳島にトリップした。
 泊まったのはRVパーク。最近全国に広まっている車中泊専用エリアである。道の駅やサービスエリアで車中泊する連中のマナーの悪さがひんしゅくを買い、キャンピングカーは徐々に嫌われ者になりつつある。そこで車中泊するキャンピングカーを専用に受け入れる施設を作ったのがRVパークである。ここではトイレや電気も使えて、炊事が出来たり,温泉を併設していたりする。
 今回利用したのは美郷の湯という温泉併設のRVパーク。ここは本格的なレストラン「オルガノ」が人気だったのだが、我々が宿泊したときにちょうど終業することになってしまった。
 さてキャンピングトレーラーをRVパークに停車してしまうとあとは天国が待っている。広々としたトレーラー内でくつろいだり、調理したり,犬の背を撫でたり。まるで別荘を手に入れたような贅沢感がある。ところが電波事情が悪いとどうにもならない。旅の夜は次の日の計画を練ったり、SNSに投稿したり結構忙しいのだが、ここで電波問題が大きく立ちふさがる。3Gだと電話をかけることは出来るが、インターネットには接続できない。今の世の中でインターネットに接続できないとほとんどのことが出来なくなってしまう。このRVパークも電波が悪く,結局夜通しで本を読むしかなかった。
 今回の旅はあまり有名ではない地方の低山を登ることをテーマにしていた。宿泊地近くで探していたら,ちょうど40分くらいのところに高越山という山を見つけた。地元の人に愛される登山ルートらしい。県外の人間が犬4頭も連れて登山して大丈夫か心配だったが,とにかく出発した。
 実際出発してみると、道路標識にばっちりと「高越山こちら」と記載があるので、地図を見なくてもいけてしまう。曲がりくねってはいるがいちおう2車線の山道を進んでいった。1時間ほど走ったところで高越山寺の標識が。駐車場もあり、そこから頂上までもいけそうである。山の支度を整えて、いざ出発である。
 

高越寺までは雪まじりながら整備された山道がつづいた

 

 

入り口付近には合掌の看板が。ママがふうちゃんを抱っこして,強引に合掌

 

 

高越寺の急階段。うちの犬は階段をものともしない

 

 

奥の方には本院が控えていた。

 

 高越寺をぬけて山道を進む。高越山のピークを目指すのだ。道は整備されているが、勾配は結構きつい。寺を後にしてからは下りが続いている。いつかは頂上にむけて登り返すのであろうと思うのだが、延々と下っていっている。これはおかしいなと思い、初老の夫人に声をかけたら快く教えてくれた。

 どうやらこの山の登山口をまったく間違えてしまったらしい。登山者は皆、もっと下の方から登ってきているらしい。我々はその過程をすっ飛ばして、車で頂上付近まで来てしまい、そして道に迷ったらしい。そこから延々と登山道を下ってきていたわけだ。山登りではなく、山下りを楽しんでいたわけだ。

 いつまでも下ってられないので、適当な所で切り上げて、ふたたび元来た道を登り返すことになった。山登りの基本は,前半死ぬほど苦しい登り道を歩き、天国である稜線を歩いて、最後は下山することであるが、今回はのっけから下山してしまっていた。

  間の悪いことに足の靴づれが起きたり、左膝を痛めたり。泣きっ面に蜂的バッドイヴェントが次々起きてきて、自身の運の悪さと方向感覚のなさを呪いつつ、急な坂道を息絶え絶えに登ることになった。

 ようやく出発地点に戻った。高越寺のさらに数十メートル進んだところにこの山の頂上がある。そしてそこには高越寺とはことなる高越神社がひっそり佇んでいた。神仏分離前の素朴な民間宗教の名残である。 


 

 頂上付近。誰かは知らない。多分偉い人

 

 日は西に傾いてきた

 

 思ったようにはならなかったが、天気だけは最高に良かった。

 

 遠くは剣山を見渡す景色。


  余談だが、筆者はこの後1ヶ月間膝の負傷で苦しめられた。膝を悪くするなんて爺さんみたいで嫌なのだが、仕方がない。

 雪のない季節のおかげで、普段登ることのないあまり有名でない低山ハイクを楽しんでいる。もちろん犬たちはたいそう満足しているので、それで良いことにしておこう