1年前に、「ああ、こりゃ本格的に世界的インフレ渦が始まったな」と感じたが、もしかすると日銀の黒田総帥がうっかり口を滑らして言ってしまったように、我々はインフレに順応しつつあるのかもしれない。
どこまでのインフレや円安に国民が順応できるのかは分からないが、実際に昨年1ドル=150円レベルまで円安が進んだのに、国民はパニックには陥っていないし、暴動も起きてはない。
銀行の信用もサービスレベルも低下しているにも関わらず、取り付け騒ぎが起こらぬばかりか、未だに殆どの日本人が日本円と銀行を信頼して、そこに預金を預けている。
物価は上がり続けており、ドル円の為替もまだ円安に振れる余地は大きいように思うが、給与に関しては大手企業は賃上げ行動を起こしつつあるものの、中小企業では賃上げ余力がなく、思うように賃金は上がっていない。
為替は、1ドル=130~135円位のレンジに我々は慣れてきてはいるものの、コロナによる渡航制限が解けた今ですら、海外に行くと何でも高いと感じて尻込みしてしまう。
私の感覚では、1ドル=130円台前半は間違いなく円高だが、普通の日本人にとってはまだ1ドル=110~120円くらいの円高に戻ることがあるだろうと思うようだ。
USドル自体も、アメリカ国内のインフレの進行や、FRBの金融引き締め政策のなかで不安定な通貨となっている実情を考えると、ドル円の動きだけに囚われていると本質を見失い危険かもしれない。
米国が金利をこのまま上げ続けると、SVB破綻やクレディスイス問題が世界的な銀行不安に波及する恐れもある。
この1年で我々が思い知ったことは、資本主義国家にとってインフレが最大の脅威だということだろう。
このインフレが、いつまで続くのか?ロシアがウクライナから撤退すれば収まるのか?先行きは不透明なことばかりで、深い霧の中にいるようだ。
我々庶民としては、USドル建てのインフレ進行度合いと、それに見合ったUSドル建ての賃金の引き上げが起こるのかどうか?ということにもっとフォーカスすべきなのかもしれない。
金利とか為替の変動は、我々にはどうすることもできない。
それらがどうなろうと、インフレになれば、その分、給与が上がりさえすればどうでも良いのだ。
しかし、国民がそのシンプルな考えに傾いてしまうと、給与の上がらない抵所得者層からは猛烈な反発を政府は食らうことになるので、なにか別のネタでごまかすしかない。
WBCは盛り上がったが、それ以外の最近のニュースはお茶を濁すような話が多くてうんざりだ。