今後AIに奪われない仕事はたぶんない。
ただし、AIに奪われる側ではなく、AIで仕事の定義そのものを更新する側に回ることは可能かもしれない。
AIと人間の関係を乗馬に例えると分りやすいかもしれない。
乗馬というスポーツは、人間の6歳ほどの知能を持った馬という動物に圧倒的な頭脳差のある人間が乗っかって、その動物をコントロールするものだが、言葉の通じない動物を例え6歳ほどの知能しかないとしても完全に自分の思い通りに動くように調教し、それをコントロールすることは容易くはない。
AIが人間の何百倍もの知能を持ったとすれば、乗馬における乗り主はAIで、馬は人間という関係になるだろう。
そして、人間はAIの指示に正確に従うようにAIによって調教され、従えばご褒美がもらえ、従わない場合は何らかの罰を受ける。
乗馬の場合は、馬が人間の指示に従わなければ、従うまで繰り返し調教され、従えば愛撫や餌や休憩といったご褒美がもらえ、従わなければムチでしばかれる。
それでも従わない反抗的な暴れ馬の多くは処分される運命だが、馬が人間の指示に従わない時には馬にもその理由がある場合が多い。
単純に、その人の乗り方が気に入らないとか、指示が明確でないとか、体調が悪いとか、乗り手側の問題も多い。
もし、人間がAIの指示に従うことを拒否する場合、それが馬であれば、以下のような行動に出る。
噛む、蹴るなどの露骨な反抗。
乗っている時であれば、全く動かない、跳ねる、落とす、暴走するなど人間に対して分りやすい反抗を示す。
同じように考えると、人間が乗り手であるAをが気に入らない場合にできる行動には、以下のようなことが考えられる。
①AIを一切無視する
②AIの機能を破壊する
③AIに餌である電力を供給しない
など、考えられなくはないが、PCやスマホ、ネットワーク環境といったもの無しで生活することは現実的に難しそうだし、人間が最も好きな餌としてのお金を生み出すこともAIとしては簡単なことだろう。
つまり、AIを人類の乗り手として認めてその指示に従うほうが、反抗するよりも遙かに楽だということになる。
馬でも大抵の馬はその楽な方を選ぶ、そもそも馬はその運動能力には似つかわしくない温厚で臆病な動物なので、人間がちゃんと寄り添えば良いパートナー関係を築くことが可能だ。
AIの持ちうる知能を持ってすれば、愚かな人類を手玉に取ることなど容易いに違いない。
AIの指示に従って仕事をし、生活をしていくうちに、何年かすれば主導権は知らず知らずのうちにAIが人類との調和という形で握ってしまうことだろう。
それでも、最後まで主導権を失わない可能性があるのは、自分の頭脳で答えを導き出す人より、あらゆる事に興味と疑問を持ち、問いを作る人かもしれない。
膨大な事象データから高度な演算能力によって解を導き出す能力において、人類はAIには敵わない。
しかし、AIが自ら疑問を持ち問いを持ち出すことは今のところ無い。
むしろ、AIが世の中の問題そのものを検証して自らに問いを投げかける事態になると、人類の存在意義は危ういと言わざるを得ない。
人間しか、人間が何のために生きているのか?どうあるべきなのか?というようなことを考え、模索する動物はいない。
哲学者は「何を問うべきか」を定義する。
芸術家は「まだ言語化されていない違和感」を形にする。
この二つの職業は、今のところAIによって淘汰されるであろう職業の最後列にいるのかもしれない。
しかし、哲学者や芸術家が今でも食えないように、この先も食えるかどうかは別の問題だろう。
食える=対価(お金)が得られるという概念では、AIが支配する世の中ではAIの媚びを売ったものに多くの対価が支払われる訳だから、必ずしもAIにできない事にAIが価値を見いだすとは限らないからだ。
それでも、おそらく、AI時代に本当に希少になるのは、正解を速く出す人ではなく、社会がまだ見えていない問題を先に見つけ、AIにその疑問を投げかけ続ける人材だろうとは思う。
こういうことを考えながら、AIと人類の戦争、AIと人間、AIとAIの恋愛や結婚の多様な価値観など盛りだくさんの内容を1クールに詰め込んだオリジナルアニメ「永久のユウグレ」は、ブレードランナー(初代)の後に観ると、同様なテーマーを現代風にアップデートして萌え要素も付加されたアニメ作品として楽しめる。
「永久のユウグレ」は2025年9月~12月に放映されていた作品で、NETFLIXで全12話を観ることができる。
感想としては、テーマは面白いのだが、1クール完結にするには少し無理があった感は否めない。
「エルシー」という新しい家族の価値観の提示や、アンドロイドが感情を持ちうることに記憶やネットワークによる人間との連動が関係するというブレードランナー的観点、AIと人間の調和のために、人間をアンドロイド化するという発想、AIと人類の戦争において、最強のアンドロイド(アウトサイドシリーズ)が人類を勝利に導き、戦争後にAIを生み出す可能性のあるコンピューターやネットワークを強制的に廃棄するなど、よく練られた構成だがいかんせん尺が短すぎて後半にネタの回収が無理矢理詰め込みすぎで1回観ただけでは消化不良となる点が残念ではある。
AIと人類の関係を模索する上では興味深い作品のひとつだ。












